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2009年2月16日 (月)

読書日記2月16日

 「花神(上)(中)(下)」司馬遼太郎、新潮文庫。
 明治維新において総司令官として彰義隊を壊滅させ、その後の奥羽列藩同盟との戦いの総指揮を執った大村益次郎を描いた作品。
 司馬は、大村益次郎を「花神(かしん)」として、明治維新の革命の花を西から咲かせていった人物として描いている。花神とは中国語で、花咲爺のことである。

 大村益次郎は幕府の第二次長州征伐でも長州藩の総司令官として戦略を立て、幕府軍を敗北に追い込んだ。その立案する作戦は全てが図にあたり、彰義隊をわずか1日で壊滅させて江戸を大火から守っている。その後も後に薩摩藩が西郷隆盛を頭として反乱を起こすことを予期して、大阪に軍事基地を作り、これが全て後の西南戦争において役だった。その先見の明は比類がない。

 司馬は常々、軍事の才能というのは一民族に数名出ればいい方だということを書いていて、司馬の頭の中では、ジンギスカン、源義経、そしてこの大村益次郎がいたようである。織田信長のことはそこまで手放しでは褒めていなかったような気がする。
 いくら兵書を読み込んでも、実際の戦場でのそれを元にした用兵の才というのは天賦のものであることは過去の例が示しているところであるが、局地戦ではなく、全体を見通せる戦略というか総司令官の能力というのは確かに民族に数名出ればいい方なのであろう。

 この作品では、シーボルトの娘である、イネ・シーボルトと益次郎の恋が花神の一つの大きいテーマである。イネと益次郎がプラトニック・ラブであったかどうかは謎であるが、益次郎が刺客に刺された時、イネは横浜で開業していた医院を閉めて看病のため横浜から大阪までわずか8日間で踏破したことからすれば、司馬の描いたとおり、二人の間は男女の間柄であったように思われる。
 益次郎が中々イネの想いを受け入れないのが読んでいて歯がゆいが、それもまた司馬の演出なのであろう。
 昭和46年の作品で、私が1歳の時の作品ということになる。

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