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2009年3月30日 (月)

読書日記3月30日

「司馬遼太郎が考えたこと 4」新潮文庫、司馬遼太郎。司馬遼太郎のエッセイ集の4巻目。これを書いている時はまだ私は生まれていない。40年ほど前に書かれたとは思えない正鵠を得た司馬の指摘には驚かざるを得ない。司馬遼太郎を読まずして歴史小説を語るな、である。

「理由」宮部みゆき。新潮文庫。
 宮部みゆきの作品で初めて読んだのは実は「模倣犯」で、当時その圧倒的な筆力とストーリーの構築力に感嘆した記憶がある。筆者の代表作ということで、いつか読みたいと思っていて購入しておいたので、ようやく手に取ることが出来た。
 宮部みゆきは確か法律事務所勤務経験があったはずであるが、その時の経験を活かした舞台設定になっている。
 読みたい本が山ほどあり、一つの本を読み終えると、次はどれを読もうか大変悩むので、これも読みたい読みたいと思いつつ後回しになっていた。模倣犯同様の物語構築力と個々のキャラクターが描かれている点や、人生について参考になる点が多々ある。
 どうしようもない男の子を産んで、「あの人は私がいないとだめ」「あの人は私しか変えられない」と言っている若い母親が、実社会で山ほどいるのを見聞きしているので、あるあると思えた。
 実社会では、だめな男はいつまでもだめであり、「あの人は私がいないとだめ」と思われている男に身も心もボロボロにされた挙げ句、そういう男は次の「そういう男に惹かれる」女性をうまく見つけ出すのであるが。小説の中ではどうか。

「天皇陛下の全仕事」山本雅人。講談社現代新書。
 宮内庁詰めの記者をしていた筆者が描く天皇陛下の全仕事である。
 「日常天皇陛下が何をしているかよく分からないのが国民の実情であろう」として、それを知って貰うがために書いたとしているが、今年度現時点でベスト1といっていい作品である。
 まず、作品としては、天皇陛下が「こんなことをしていたのか」という新鮮な知的好奇心を満たしてくれる点で比類なく面白い。
 また、淡々と描きながらも、天皇陛下の人柄がにじみ出てくる筆力があり素晴らしい。私は基本的にノンポリだが、天皇陛下という人柄に接してしまえば、考えが根底から改められるのではないかという気持ちにさせられた。被災地を周り、罹災した人と同じ目線で時には自衛隊のヘリに乗り込み、被災者を勇気づけるその姿は、まさに「象徴」であろう。
 障害者施設に赴き、1人1人の障害者に声をかけるために、予定時間がオーバーしていると侍従から告げられても無視をするということもあるというエピソードが好きである。
 次に、天皇陛下とは、とてつもなく多忙だということがわかった。「公人」として、象徴として、気の休まる暇もないのではないか。これは、美智子皇后陛下も同じであろうが、天皇陛下自身、自らのその立場に疑問を抱いたことはないのか、何もかもを投げ出したいと思ったことはないのか。職業選択の自由の例外に置かれている天皇陛下。
 天皇陛下は、「生の人間」とした時に、自らのその人生にどのような思いを抱いておられるであろうか。
様々なことを考えさせられた。
 好著である。是非ご一読を。

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コメント

「天皇陛下の全仕事」という本、読みたくなりました。

投稿: ふなまま | 2009年3月31日 (火) 22時40分

 天皇がどれだけ多忙で、自由がないかが分かります。
 類書がないだけに、本当にお勧めです。

投稿: 中 隆志 | 2009年4月 1日 (水) 12時03分

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