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2011年12月26日 (月)

読書日記12月26日

「死暮島の殺人」角川文庫。大村友貴美。
 横溝正史賞を受賞した著者の第2作。1作目よりはよくなったが、設定のおどろおどろしさが横溝正史からすると物足りない。また、横溝正史と比較すると、設定が嘘っぽいのである。
 人生で無理に読む必要はない作品であろう。

「歴史と小説」集英社文庫。司馬遼太郎。
 司馬のエッセイ集。
 この中で、以下の話が心に残った。
 桂小五郎が江戸で修行中に隣家の娘さんに子どもを産ませて(桂は子どもがいることは知らない)、そのまま国事に奔走していた。その女性は、桂に一目会いたいとして、桂を追って京都まで行ったところ、金子が尽きて、乳飲み子を抱いて物乞いをしていた。そうしていたところ、蛤御門の変が起こり、殺気立つ会津藩の藩士に橋の上で突き当たった母親が切られてしまう。
 その場にいた秋月悌次郎がその藩士を制止し、その女性を介抱したが、致命傷であった。女性は、「この子は桂小五郎の子である。あなたの手で桂を探して、この子を渡して欲しい」と言って乳飲み子を渡してこときれてしまう。
 これを快諾した秋月は、自分の子として育て、維新後、桂(既に改名して当時は木戸孝允)に「あなたの子である」として引き会わせたが、その子は木戸性にはならなかった、と書かれている。

 これが史実かどうかはわからないが、これが史実であるとすれば、秋月という男は、なんという男であろう。行き倒れの女性に恃まれただけで、これを断ることもなく、乳飲み子を引き取るなどということは容易に出来そうもない。秋月のこの挿話には胸が熱くなるものを感じるのである。

「暴雪圏」新潮文庫。佐々木讓。
 警察小説で最近ブームを起こしている著者の作品。
 雪などの自然現象で閉じ込められた場所で、凶悪犯に一人で立ち向かうというその設定は極めて極めてありきたりではあるが、こういう設定は読み手をはらはらとさせるもので、繰り返し使われる。
 ホワイトアウトなどもこの種の作品である。
 人物描写や情景描写が不足しているという感は否めないが、今は書き込みすぎると読書力が落ちているから、敢えてこうしているのかもしれない。

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