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2012年12月18日 (火)

大いなる眠り

 年末にいい本を読めた。
 レイモンドチャンドラーの村上春樹氏による新訳、「大いなる眠り」(早川書房)である。
 私のブログを読んでいただいている方はご存じの人も多いと思うが、私はチャンドラーの大ファンである。大学の時にチャンドラーに出会い、衝撃を受け、長編をすべて読んだ。
 しかし、大学生程度の人生経験では、チャンドラーを理解していたとは言い難い(今もまだまだ人間としては未熟なので、理解していると胸を張ってはいえないが、あの頃よりは理解出来るとはいえるだろう)。
 その後、短編集をすべて買って読んだが、これは弁護士になってからであったろう。
 早川書房から短編集の新訳が出て、これもすべて買い、さらに村上春樹氏によるチャンドラーの新訳の発刊である。
 これまで、「ロング・グッドバイ」、「さよなら、愛しい人」「リトル・シスター」と刊行されており、この「大いなる眠り」は村上春樹氏による新訳の4作目にあたる。
 これで長編で村上春樹氏による新訳がされていないものは、「高い窓」「湖中の女」「プレイバック」「プードル・スプリングス物語」の4作ということになる。ただし、プードル~は、チャンドラーは一部しか書かずに死去しており、それをロバート・B・パーカーが完成させたもので、厳密にはすべてチャンドラーとはいえないが。
 この大いなる眠りは、他の長編と異なり、早川書房からではなく、創元推理文庫に入っていた。これはフィリップ・マーロウが登場する長編の最初の作品であるにもかかわらず、早川書房には翻訳権がなかったためである。しかし、このたび、翻訳権が早川書房に移転したため、村上春樹氏が新訳出来たという訳である。
 大いなる眠りの訳は1950年代だったように記憶していて(双葉さんという方の訳である)、当然私はこの作品の旧訳は読んでいたのであるが、文体もさすがに古く、もっとも新訳で出して欲しい作品の一つであった。
 実際、村上春樹氏の新訳が出ないかと、一週間に一度はチャンドラーの作品の新訳が出ていないかほアマゾンで探していたほどである。そして、12月の頭にこれがさりげなくアマゾンのチャンドラー作品の中に出ていた時、ボタンを押すマウスの作業ももどかしいほどだった。
 内容はこれから読まれる方もいるかもしれないので割愛するが、12月の慌ただしい時期に、通勤の帰りや、自宅の夜の時間に大変芳醇な時間を過ごさせてもらった。
 年末の休みには、この作品の映画化作品である「三つ数えろ」(主演、ハンフリー・ボガート)をもう一回観ようと思っている。
 ハードカバーであるが、それだけのお金を出す値打ちはある。
 これからまた年間の読書トップ10を決めると思うが、文句なく第一位である。

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