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2013年4月25日 (木)

読書日記4月25日

「彼岸過迄」岩波文庫。夏目漱石。
 夏目漱石は日本語の基本的文体を完成させた偉人であると司馬遼太郎は繰り返し言っているが、まさにそうであろう。
 夏目漱石の文章を読んでいると、今の小説家の基本的な書き方はここに集約されていると言ってもいいような気がする。
 この小説は、新聞に連載された連作小説で、彼岸過迄書き続けようということでつけられた題名だそうである。
 漱石は、ある時期の作品からは人間の感情というか内奥の苦悩を書き続けたが、それぞれの登場人物が一つの人間のタイプとして完成されていて、読み手にその人柄が伝わってくる。
 登場人物のその後の顛末がどうなったのかものすごく気になるが、そこを書かずに想像に任せているところがまた作品に深みを与えている。
 夏目漱石を読まないのはもったいないと思うのである。

「幸村去影」徳間書店。津本陽。
 津本陽の最新作が本屋で出ていたので購入。大阪の陣における幸村の活躍を描いている。
 大阪夏の陣で、徳川家康の旗本勢に突撃をし、家康が二回も腹を切ろうとして止められたくだりの突撃のところは、いろいろな作品で描かれているが、何度読んでも痛快であり、また、涙を誘う。
 物語によっては、真田幸村のこのときの突撃によって家康は死に、家康が死ねば徳川幕府が崩壊すると考えた幕僚達により家康の影武者を立てて、その後ほどなく駿府城で死んだことにしたという内容のものもある。
 家康は、若い頃死に、入れ替わったとする説があり、関ヶ原の戦いの際に刺客によって殺されたとする説もあり、また、大坂の陣で真田幸村の激突により死んだという説がある不思議な武将である。
 それだけ、最後の大阪の陣における家康のやり口が汚く、後世に汚点を残したということだろうか。
 司馬遼太郎によれば、大阪の陣のあと、徳川勢は秀吉の墓所を暴いたとされているが、日本人があまりしないような行動であり、家康は実は影武者で、大陸からの帰化人であったという説が出てくる余地があるのだろうか(こういう観点で描かれた小説もある)。
 いずれにせよ、牢人勢を率いて、あれだけの戦果をあげた真田幸村が、「日本一の兵」といわれたのは当然のことであろう。

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