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2014年12月11日 (木)

片親疎外

 離婚事件をやっていると、一方の親の元に居る子が別居している親を激しく攻撃するということがある。もちろん、その中には別居中の親からの虐待など理由があるものもあると思われるが、離婚事件を取り扱う弁護士として、片親疎外という概念も知っておく必要があると思っている。

 片親疎外というのは、一度ガードナーという人が提唱して、その後批判されて(離婚と子ども、創元社、棚瀬一代著)、「疎外された子ども」という概念が提唱され(離婚と子ども)たところ、その後研究が進み、事例も収集され、片親疎外症候群というのはもはや世界的に見て当然の概念のとされている(離婚毒、誠信書房、ウォーシャック著)。
 そして、海外では、これは児童虐待にあたるとされている。
 離婚毒という本では、「情緒的虐待」であると定義されている。
 また、親が離婚を経験した子どもの多くに、抑鬱の症状が出ていて、自殺を本気ではないが企画するという記載もある(親の離婚を経験した子どもの精神発達に関する研究、風間書房、野口康彦著)。  
 新書でも、片親疎外という病とされていて当然のように記載されている(離婚で壊れる子どもたち、光文社新書、棚瀬一代著)。
 
 片親疎外の中核的要素は、
  ①別居親に対する一連の誹謗中傷や拒絶-エピソードが単発的でなく持続的
 ②不合理な理由による拒絶-別居親の言動に対する正当な反応といえない疎外
 ③同居親の言動に影響された結果としての拒絶  とされており、これら3つの要素がすべて立証できるときに、「片親疎外」と認定出来るとされている。
 また、片親疎外が子どもに与える悪影響としては、 ①自己肯定感の低下 ②基本的信頼感の低下 ③抑うつ傾向 ④アルコール/薬物依存傾向 ⑤自分自身の離婚 ⑥自分自身の子どもからの片親疎外  が見られやすいとされている(以上、離婚毒より引用)。

 離婚事件を担当している弁護士としては、同居親からの依頼を受ける場合には、同居している子がこうした状態になっていないかも見極めて、事件を進行させないといけないということになろう。
 ただ、未だ浸透していない概念だと思われるため、今後の更なる研究が待たれるところである。

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