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2017年5月 1日 (月)

中小事業者のクレジット・リース被害について

 平成17年5月に私が呼び掛け人となって全国で初めてリース被害に対して救済を図るため、「リース被害京都弁護団」」が結成され、それ以降同弁護団の事務局長を務めている。なお、主として零細中小企業を狙った悪質な契約はリースにとどまらず、クレジット契約における被害も見られるようになったことから、現在では名称を「リース・クレジット被害京都弁護団」と改称している。
 リース被害、クレジット被害におけるその特徴は、悪質な業者が、零細な中小事業者がそのターゲットとしていることである。
 まず、リース被害については、リースそのものを規制する立法がない。事業者でなければ、法定の期間内であれば、特定商取引法のクーリングオフを主張して、契約を白紙撤回できるが、特定商取引法におけるクーリングオフは、営業もしくは営業のために締結した契約については適用がされないため、零細な中小企業が締結したリース契約についても、特定商取引法の適用が除外されるという結論となりやすい。
 この点についても、当弁護団は様々な主張を展開し、悪質なリース被害における営業もしくは営業のためという概念の限定解釈を主張してきたが、裁判所は理解を示すところとはなっていない。むしろ、条文を拡張解釈し、単なる「事業」でも足りるとして、全く営利事業を行っていない宗教法人についてまで適用除外を認めた裁判例すら存在するほどである。
 リース会社は、自分の営業部隊を持たず、各悪質な販売店が契約の締結、交渉をとりまとめ、顧客との契約関係はリース会社との間にしか存在しないこととなる。
 各販売店は、リース会社から商品の売却代金を一括で支払ってもらい、リース会社はこれにリース料率を乗じたものを毎月リース料として請求することになる。
 リース会社は、直接契約の締結は行わず、訴訟においては、販売店がしたことは「自分は知らない」といいさえすれば勝訴できるという構造にあり、現に以下に述べるような主張立証を尽くしたとしても、敗訴に至ったケースは多数存在する。
 リース会社に対して主張できる構成としては、悪質な業者がリース会社の代理人であるとし、業者の行った行為がリース会社にも主張できるとする構成が考えられるが、裁判所は様々な証拠を尽くして説得をしても、ほとんどこの主張を採用しない(市民感覚からすれば、どうして認めないのかとなるであろう)。
 同じ理由で詐欺、錯誤を主張しても、リース会社はそれを知りようがないという理由で敗訴することが大半である。
 悪質な業者の行っている行為をリース会社が知ることが可能であったとして、最高裁の規範を用いて一部勝訴した事例もあるが(その判決は京都弁護団が取得している)、我々弁護団からすると、「知ることができた」時期が遅すぎ、救済されないという思いがある。
 この裁判所の壁をどう突き崩すかということが非常に重要である。
 クレジットの場合は、業者と顧客との間には商品の売買契約があり、その売買代金を信販会社が立替払をする契約を顧客と締結していることになる。これは二つの契約が存在するが、事業者が契約を締結した場合には、業者と顧客との間の売買契約において、顧客が業者に主張できる事実があったとしても(詐欺、錯誤など)、信販会社にはその事由を原則主張できないというのが裁判所の考えである。
 これについても、最高裁の規範で、信義則上残りの割賦代金の支払を信販会社が請求することが認められない特段の事情がある場合には、請求が認められないというものがあるが、特段の事情の主張立証責任は顧客側にあり、私の知見の範囲では、具体的事例でこれが認められた事例は知らない(もしあるのであればご容赦願いたい)。
 この問題について書くと、一冊の本が書けるほどであるので、この程度にするが、問題としては、リース契約される商品自体の価値がほとんど無価値なものでも数百万円のものとしてリース会社の審査が通っていることもあげられよう(クレジットも同様)。
 このように、中小企業が締結した契約は、法律による規制がないため、簡単に解決できるものではないという理解を持つことが重要であり、安易にリース契約やクレジット契約を締結すべきではないのである。
 仮に、こうした契約において、簡単に解決ができるというような説明をする弁護士がいるとすれば、その弁護士は事業者のリース契約やクレジット契約についての知識が全くといっていいほどないから、依頼する前によくよく検討した方がいいというのが私の考えである。
 もちろん、京都弁護団としては、裁判所が上記のような考えでいるとしても、それを打破すべく、今後も事業者のクレジット・リース被害撲滅のために、訴訟において主張立証を尽くしていくことには変わりがない。

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