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2019年5月23日 (木)

読書日記「最高裁に告ぐ」

 岩波書店。岡口基一。
 同じ著者の、裁判官は劣化しているのか、も併せて読んだ。

 著者は裁判官で、ツイッターを続けていたところ、分限裁判の当事者となった。その経緯を詳細に書いた一冊。
 事案の整理とともに、近年の最高裁の判断の問題点などを知ることもできたので、法律家としても一読に値するが、一般の人にはわかりにくいであろう(そもそも、一般向けではないのだろうが。)。
 著者は何事にも動じないのかと思いきや、著者も人間であり、不安の中で過ごしていることも分かった。
 私が著者の立場であれば、裁判官を辞めて、高級が取れる事務所に入るであろうが、著者は敢えて辞めない、情報発信も続けるという道を選んでいる。不安はあるだろうが、鋼のメンタルである。

 もう一冊の裁判官は劣化しているのか、も読んだのだが、要件事実教育は確かに重要であると私も感じているところがある。
 しかし、もっと大事なのはこちらの方の著書に書いてあった、「ノミニケーション」だろうと思う。
 弁護士の世界でも若手が酒席に同席しない傾向にあるが、先輩からシラフでは聞けない事件処理の要諦などを聞くことができるのに勿体ないと思う。私もそれで助かった事件がいくつかある。
 先輩の法曹からいろんな話を聞いたり、飲み屋に出入りすることで、人としての常識や考え方も磨かれるところがあると思うのである。
 裁判官と話をしていても、裁判官の物の見方、考え方が常識からずれていると感じることがあるが(素晴らしい裁判官もいることはこれまでのブログで書いてきたとおり。)、そのズレが最近大きい人がいる気がする。
 そういう裁判官について、私も人間なので私の事件の見立てがずれていることもあるかとも思うので、酒席で他の弁護士の評判を聞くと、のきなみ、「あの裁判官、おかしいで」「高裁勝負と思っている」となる。おかしい裁判官に対する弁護士の評価は割合一致しているのである。逆に、いい裁判官の評価も一致しているのであるが。。。

 ということで、法曹限定にはなると思うが、読んで見るとなるほどなと思うところがあるので、お勧め本として紹介する。

 

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