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2019年12月13日 (金)

宮本武蔵その3

 武蔵の剣歴は以下のとおりである。

1、13歳にして有馬喜兵衛という新当流り廻国修行者を打ち倒す。
2、16歳のときに但馬国の秋山という強豪の兵法者を打ち倒す。
3、以降、29歳の時までに60数回の勝負を行い、全て勝利した。

 60数回という勝負は他の剣豪と比較しても多い。
 史料や伝承によると、その詳細は以下のとおり。

4、21歳のときに、京都の吉岡清十郎と蓮台野で戦い、勝利。弟の吉岡伝七郎と三十三間堂で戦い、勝利。
  一乗寺下がり松で、吉岡一門と戦い、勝利。
  これには異説があり、吉岡直綱という吉岡一門の当主と京都所司代の屋敷で戦い、武蔵が大出血したため試合は途中で終わりとなったため、直綱の勝ちという説と、直綱も打たれていたため、引き分けとされたという史料もある。弟の吉岡直重にも武蔵が試合を申し込んだが、試合の場に武蔵が現れなかったため、武蔵の不戦敗という史料もある。ただ、直綱が清十郎と同一人物であるのか、直重が伝七郎と同一人物であるかは不明である。バガボンドでは、武蔵が吉岡一門に挑んだ時、清十郎に重傷を負わされ、伝七郎とは互角に戦い再戦して倒すことになるが、そういうように話を変えたのは、このあたりにヒントがあるのかもしれない。

5、奈良の宝蔵院の槍(相手をしたのは奥蔵院という高弟。)と二度戦い、二度とも勝利し、その後夜を徹して語り合う。
6、伊賀の鎖鎌の使い手である宍戸某と戦い、これを破る。
7、江戸で柳生新影流の剣士2名と戦い、これを破る。
8、杖術の夢想権之助と戦い、これを破る。
9、巌流島にて、佐々木小次郎を破る。
10、大阪の陣に水野勝成の軍で参戦(大阪城に籠城したとする小説もあるが、最近の史料では、徳川方であることが確認されている)。
11、三宅軍兵衛と戦い、これを破る。
12、名古屋にて、徳川義直の家臣で柳生新影流の剣士を破る。
  おそらく、このときに柳生兵庫と出会い、お互い名乗る前に相手の力量から、武蔵と柳生兵庫であると見知ったという逸話があったものと思われる。
13、島原の乱に出陣。城攻めの際に石が当たり、怪我を負ったとされる。
14、57歳の時に、細川家に客分として迎え入れられる。
  このときに細川家の家臣の柳生新影流剣士を何人も破ったとされ、家臣はみな武蔵の円明流に入門したとされる。
15、このほか、ここに書けなかった戦いや伝承もあり、有名なものだけをあげた。

 これだけの勝利数を見ても、武蔵が歴史上最強の剣士であったことが分かる。
 もっともコンパクトに武蔵の生涯を読みたい人は、光文社文庫の戸部新十郎の日本剣豪譚、戦国編を読まれたい。他の剣豪の逸話も秀逸である。江戸編もあります。
 書き出した時はもっといろいろ書きたかったのだが、疲れたので、ここで終了とさせていただきます。

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2019年12月12日 (木)

宮本武蔵その2

 突然これを読み返したいと思うことがあるのだが、先日、突然「バガボンド」を読み返したいと思った。バガボンドは、講談社から出ている井上雄彦が吉川英治の宮本武蔵を原作に描いた劇画である。
 アマゾンの電子書籍で購入したいと思ったのだが、あいにく電子書籍化されていなかったので、やむなく全巻購入した。
 そして、これを全巻読んだあと、原作も読み返したくなり、吉川英治時代文庫の宮本武蔵全8巻を読み返した。
 吉川武蔵を読んだのは、大学生の頃であったから、実に30年近く経って読み返したことになる。
 筋はだいぶ忘れていたし、井上雄彦のバガボンドも原作というよりは原案くらいになっていて、かなり内容は違う。
 佐々木小次郎は吉川武蔵では敵役のように描かれているが、井上武蔵では、佐々木小次郎は耳が聞こえない設定であり、敵役とは描かれなかったり、吉川武蔵のヒロインであるお通と武蔵の関係も違う。

 宮本武蔵ほど作家が食指を動かされる歴史上の人物も中々いないと思われ、吉川武蔵以降、司馬遼太郎の「真説宮本武蔵」、津本陽「宮本武蔵」、小山勝清「それからの武蔵」(佐々木小次郎との決闘以降の武蔵が描かれる)など、私の蔵書だけでも他にも5冊くらいある(私が武蔵に興味があるからかもしれないが)。
 武蔵の生涯が謎につつまれていること、二刀流の創始者であったこと、その強さに比較して生涯幸福とは縁遠かったと考えられることなどから、描いてみたいと思わせられるのかと思われる。

 武蔵に関しては、渡辺幸庵という人物が130歳を越えていたので、加賀藩主前田綱紀がそれほどの高齢の人は珍しいとして、家臣に昔の話を聞き取りさせたものが残っており、「渡辺幸庵対話」として家臣にまとめさせた。
 その中で、「自分は柳生新影流で印可ももらった。竹村武蔵というものがいて、但馬守(柳生宗矩)と比べた場合、囲碁でいえば井目も武蔵が強い」というくだりがある。
 竹村は武蔵の母方の姓で、江戸にいた時、武蔵は母方の姓を名乗っていたと、戸部新十郎は、日本剣豪譚、戦国編(光文社文庫)の中で述べている。
 柳生新影流の一子相伝は、柳生石舟齋の孫である柳生兵庫が受けたので、柳生宗矩は一般的には剣の腕では柳生兵庫に劣ると考えられているが、将軍家の指南役である。それと比較して、井目も強いというのは、恐るべき強さであるといえる。
 もっとも武蔵の生涯を読むには、戸部新十郎の日本剣豪譚がもっともよいと思っているのだが、武蔵の生涯の戦いを見ても、彼が日本の剣豪の中で屈指の強さを持っていたことがわかる。
 つづく。

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2019年12月11日 (水)

宮本武蔵

 宮本武蔵と聞くと、100人いれば100人違う印象を持つのではないか、と思う。
 宮本武蔵が名人か非名人かで菊池寛と直木三十五との間で論争があり、論争の中で吉川英治に菊池がどちらに与するか聞いたところ、吉川英治は名人であると答え、それに対する回答として、名作「宮本武蔵」が生まれたとされている。
 菊池は名人説、直木は非名人説であり、直木は武蔵が佐々木小次郎以外名のある剣士と戦っていないし、名のある剣士と立ち会おうともしていないとしている。
 これに対し、戸部新十郎という作家は、日本剣豪列伝の中の武蔵の項で、他の有名剣士がどれだけの高名剣士と立ち会ったというのかと批判し、直木が上げる剣士の年齢を上げて、武蔵と同年代とはいえない人も混じっていることから、武蔵が剣豪の中で最強の剣士の一人としているが、私もその説に賛成である。
 今日は時間がないので、明日以降、武蔵について書きたい(どうでもいい人もいると思うので、そういう人は読み飛ばしてください。)。

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2019年12月10日 (火)

顧客対応

 服を買いに行った時に、お得意様に何名もの店員が対応していて、こっちに対応してくれないことがある。
 私の場合は服を買いに行く暇もそうそうないので、買うものは決めていき、その場で買うならさっさと買うので、こちらにも対応して欲しいのだが、上客ばかりに対応している店員がいる。
 こういう店だと買う気が失せてくるのだが、私もそうそう行けないので、店員を呼んで試着させてもらい、さっさと決めて買う。

 えてして、こういう店で上客とされているような客は、いろいろと試着して中々決めないし、正直、失礼だが、何を着てもそう変わりもしないだろうという男性が多い。
 私も仕事着もある程度持っているから、そんなに服を買うわけではないので、店にとってはたまにしか買わないので、当然、上客ではないであろう。しかし、そういう対応をしていると、客も来なくなってくるのではないだろうか。太い顧客だけでやっていけるというならそうかもしれないが、服もたくさん売れないと利益が確保できないであろう。

 飲食になってしまうが、私がよく行く店の場合、上客だけを大事にして、私だけ大事にされていると、行く気も失せるし、そもそも、私が行く店はそういう対応はしない。
 むしろ、私の方でも、こちらは気にせずあっちのお客さんを対応するように言ったりもする。
 それが上客ではないであろうかという気がする。

 私自身、依頼者も顧問先とそうでない顧客、相談だけの顧客で差をつけることはしないようにしているつもりではあるので、冒頭に書いたような対応をされると、何か違うよなあと思ってしまうのである。

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2019年12月 9日 (月)

今週の小次郎

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 毛布大好き二代目小次郎である。
 外で暮らしているワンコもいるであろうに、まあいい暮らしの方ではなかろうか。
 月日の経つのは早く、今年も働けるのはあと3週間である。
 今週も頑張っていきましょう。
 

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2019年12月 6日 (金)

読書日記ベスト10その4

「マンモスを再生せよ」文藝春秋。ベン・メズリック。
 ハーバード大学の遺伝子チームがマンモスを再生しようとしている取組を紹介するノンフィクション。
 なぜマンモスを復活させないといけないか。それはこの本を読んでのお楽しみであるが(復活しない場合のストーリーを考えると楽しみとは言っていられない)、地球規模の災害が起こる可能性があるからである。
 韓国では亡くなった犬と全く同一の遺伝子を持つクローン犬が高値で製造されている。
 神の領域であると恐ろしくもなる一冊。

「サカナとヤクザ」小学館。鈴木智彦。
 密猟が暴力団の資金源になっているというルポである。
 把握されている漁獲量から考えると、密猟がなければ食卓や飲食店で並ぶ魚介類は不足するということで、密猟をする者だけが悪いという構図ではなく、食を求める我々にも責任があるのではないかと考えさせられる一冊。
 勤勉に漁をするヤクザもの達を見ていると、それだけの労力をかけられるのであれば、普通に働けばいいではないかと思ってしまうのは私だけであろうか。

 その他、今年読んだ本で良かったのは(読書日記で書いたので出版社や筆者、内容は割愛する)、「ナマズの博覧誌」(かなりマニアックなので、私のようにナマズ好きにしか分からない一冊かもしれないが)、「本能寺の変」(史料に基づいて本能寺の変について簡にして要を得た説明がされる)、「世界の辺境とハードボイルド室町時代」(対談本であるが、辺境と比較することで日本の中世の理解を深められる一冊。対談者2人の知識量の豊富さにただ圧倒されるが、知的好奇心が満たされる)である。
 これらが今まで紹介した作品と差があるわけではなく、単に私がこれ以上書くのがしんどくなっただけである。
 以上です。

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2019年12月 5日 (木)

令和元年読書日記ベスト10その3

「ふぉん・しいほるとの娘」新潮文庫。吉村昭。
 吉村昭という偉大な作家の確か最大の長編。上下巻。無駄を省いた文章で、シーボルトの娘の激動の生涯を描く。
 司馬遼太郎の村田蔵六を主人公にした「花神」では村田蔵六の愛人という設定であったが、こちらではどうかというところも見所である。

「ファンタジーランド」東洋経済新報社。カートアンダーセン。
 上下巻で、副題は、狂気と幻想のアメリカ500年史である。
 これを読めば、トランプがなぜ大統領に選出され、アメリカでなぜ空想もののハリウッド映画が流行するかがわかる。
 これはアメリカを知る上で必読の書であろう。

「ペンギンブックスが選んだ日本の名短編29」新潮社。ジェイルービン編集。
 序文として村上春樹が解題を書いている。あと、いくつか長いものは落とされている。漱石の三四郎などだったようである。
 これを読まなければ、文学の世界に疎い私は知らない作家がいたので、そういう意味でこの短編集は貴重であった。
 川上未映子は勝手に変な題の作品があったので、読んでもいないのに毛嫌いしていたのだが、これで読んだので「夏物語」を後に買って読んだ。細かくは読書日記の本編で紹介したのでこの程度とするが、読書をすることで、日常に味わいを見いだすことができる。

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2019年12月 4日 (水)

令和元年読書日記ベスト10その2

「黄金州の殺人鬼」亜紀書房。ミシェル・マクナマラ。
 カリフォルニアの各地で発生する強姦と殺人。場所によって様々な名前で呼ばれていた犯人は、DNA鑑定の結果、実は1人の男だった。
 筆者はその足取りを追い、資料を整理し、現地に赴く。
 しかしながら、筆者はこの本の完成を待たず亡くなってしまう。
 残された資料を再整理し、黄金州の殺人鬼の正体を追ったノンフィクションである。
 秀逸な作品で、アメリカでも大ベストセラーとなった。
 これもまだ読書日記にあげていなかったので、これで紹介とさせていただく。

「日本は誰と戦ったのか」ワニブックスplus新書。江崎道朗。
 アメリカがいかにしてソ連の謀略に引っかかり日本との戦争を始めたか、そしてソ連がいかにして第二次世界大戦で日本の領土を占領し、利益をむさぼったかが整理された作品。細かい内容は以前紹介したのでこの程度とさせていただくが、歴史的史料が明るみに出てきたことで、歴史にも見直しが入るということを痛感させられる作品である。

「ヒマラヤ 生と死の物語」山と渓谷社。池田常道。
 私は山登りはほとんどしないが山岳小説や登山のノンフィクションはなぜか好きである。神々の山嶺などは睡眠不足になって読んだ。
 これもヒマラヤでの遭難事故をまとめた一冊で、一つ一つは短いものの、コンパクトにいかにして登山家が生き、あるいは死んだかが描かれている。また、九死に一生を得たものの、やはり高難度な登山をして死んでしまった事例なども整理されている。
 電車の中で駅を乗り過ごした一冊である。

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2019年12月 3日 (火)

読書日記令和元年度ベスト10

 恒例の(いや、誰も待ってないかもしれないが・・・)、読書日記ベスト10である。
 令和元年度となっているが、平成31年も含む。
 また、まだ読書日記が書けていないものもあるし、12月のこれから読むものもあるので、とりあえず現時点のものである。
 順位はつけず、今年読んでよかったもの10冊程度をあげておく。

「トリフィド時代」創元SF文庫。ジョン・ウィンダム。
 これはまだ読書日記に書けていないので、ここでの紹介でもって日記に変えるが、小学生の時、子ども用に書かれた怪奇植物トリフィドというようなタイトルで図書館で借りて読んだ。
 彗星の大群が地球を通過した翌日、それを見た人々は全て視力を奪われていたという世紀末設定である。
 たまたま目の手術のために視力を失わなかった主人公が世紀末世界を再構築していこうという物語であった。
 視力がなくなっただけならいいのだが、人を襲って食べるトリフィドという植物が跳梁跋扈する世界で、このトリフィドという植物のために人類が滅亡の危機に瀕するという話である。
 子ども用に書かれていたので、原作は実ははじめて読んだのだが、子ども用にかなり修正されていたので、原作はこうであったのかという驚きとともに、これが書かれたのが数十年前だということを考えると、今読んでも新しいと思える作品であった。
 これはお勧め。

「江戸・明治 百姓たちの山争い裁判」草思社。渡辺尚志。
 江戸時代、山は肥料としての落ち葉や、薪などの農村の生活必需品の供給源として非常に大事なものであり、その山の権利がどちらの村にあるかということは死活問題であった。
 いずれの山かということで訴訟となれば、場合によれば担当者は江戸に詰めなければならず、その費用も莫大であった。生活費を削り、江戸でも慎ましやかな生活をしている担当者の悲哀も史料で描かれる。中には100年以上続いた裁判もあった。
 明治期に入りそれがどのように変容したかなど、これは歴史好きには非常に面白い一冊であった。

 ということで、通常の読書日記二つくらいの分量を書いたので、続きはまた明日以降。

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2019年12月 2日 (月)

今週の小次郎

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 寒くなり毛布で巻かれるとそのままおとなしい二代目小次郎である。
 散歩の時は寒さをものともしないが、帰ってくると、「おお、さむ。さむ。」という感じである。
 いよいよ12月に入りました。
 いい年を迎えられるよう、頑張っていきましょう。

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