国選弁護士の報酬
刑事事件の場合に国が費用のない人につけてくれる国選弁護士費用。これはどの程度の額なのでしょうか。まずは、国選の場合に弁護士が行う作業を見てみましょう。
もっとも簡単な事件、すなわち、事実関係に争いがない事件では、起訴状を受け取ってから記録のコピーを取り寄せて(3000円から1万円くらい実費が必要)、記録を検討してから(通常検討には2時間程度)、本人に面会に行き(拘置所にいることが多いので、往復の時間と面会時間も合わせると、3~4時間はかかります)、記録が間違いないか検討します。 その後、本人のために「今後監督していきます」という人がいれば情状証人として事務所で打ち合わせをしますが、これも準備と面談で2時間程度かかります。 そして、被告人に裁判で聞くための被告人質問の作成。拘置所での打ち合わせを元に作りますが、作成に1時間程度。場合によれば作成してからもう一度面会に行きます。 あとは弁論要旨といって、最後に被告人のために刑を軽くしてやって欲しいと述べる書面の作成に1時間程度。交通費は国選弁護費用の中から自分で支払うことになっています。
あとは裁判が約1時間。判決立会いが約15分。判決宣告後、裁判所の仮監獄で面談して判決に不服がないか確認。15分程度。これでだいたい事件終了。
これで国から支払われる国選弁護報酬は?
ア、1万円
イ、8~10万円
ウ、50万円
答えは…?イです。安いと思いますか?高いですか?
もちろん、事実関係に争いがある事件では、上記のような時間ではとうてい出来ませんし、もっと裁判も回数が開かれます。また、被害者と交渉するような場合にはもっと時間もかかりますし、気も遣います。示談金をもって、遠方の被害者のところまで出かけたりしたこともあります(帰り道迷子になって土曜日が潰れた)。しかし、それに比例して費用が上がる訳ではありません…。
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コメント
>イ、8~10万円
妥当だと思います。
ただ、長くかかる案件の場合もう少し高くても良いかも知れません。
私としては、「国選弁護士以外の弁護士費用が高い」ということが問題に感じます。
投稿: LOST | 2006年2月22日 (水) 23時38分
中先生、こんばんは。
自分は安いのではないかと思います。もっと高いのかと思っていました。
実際問題、国選弁護士が必要とされる事件がどのくらいあって、国が負担しなければならない総額がどのくらいなのか私には見当もつかないですが、依頼された弁護士にとっては安いのではないかと思いました。要した日数・時間から考えると、もちろん抱える事件はそれだけではないとしても、10万程度では事務所運営、人件費などを考慮すると、もとが取れないんじゃないかなぁと思ったりします。あまり安いのは弁護される被疑者にとっても有益でない気がします。
投稿: もも | 2006年2月23日 (木) 01時42分