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2006年3月11日 (土)

法曹人口問題を考える会

momoさんコメントありがとうございます。生え際気のせいだとよいのですが…。

LOSTさんもコメントありがとうございます。業績を急激に拡大している業者は、証拠に残らない虚偽トークをしていることが大半ですね。言った言わないの問題について立証の壁があるため、特定商取引法にはクーリングオフがあるのですが、営業のために契約した場合には適用されないのが問題なのです。

さて、私のホームページには掲載してあるのですが、京都弁護士会の有志20名ほどが中心になって、「法曹人口問題を考える会」というものを立ち上げました。現在、規制緩和の名のもとに法曹人口の飛躍的増大の必要性が叫ばれていますが、社会状況の正確な把握なしに増加ばかり叫ぶのは危険だという問題意識のもとに結成した会であり、私が代表を務めています。

未確認情報ではありますが、現在司法修習している59期生は、未だに300名が就職先が決まっていないと言われています。また、急激に増加させた韓国では、昨年は25%が就職出来ず、今年も30%が就職出来ていないという報道もされています。

社会情勢の調査もなく、予算がどの程度つくかも分からず、裁判官・検察官の大幅な増加も予定されておらず、法廷の増加も予定されていない状況で無限定に増員増員ということについて警鐘を鳴らし、真実必要な社会情勢があるのかについて可能な範囲で調査し提言していく予定です。以下は、私の個人的な意見です(会で議論したわけではないので)。

弁護士が増えすぎて収入が減れば、建築士問題のように依頼者から違法な要求がされてもこれを断れない弁護士も出てくるでしょうし、建築士の専門誌では、耐震偽装問題は氷山の一角に過ぎないとの認識を持っている建築士が大半です。競争競争で淘汰に任せた場合、淘汰される間に多くの国民の権利を侵害する可能性があります。医師など一定の倫理性の要求される職業については、入り口においてある程度の規制は必要であって、資格はとりあえず与えて問題が起きればあとで規制するというのでは、ライブドア問題や建築士問題で生じたような同じ問題が弁護士の世界でも起きる可能性があります。

ことに、弁護士は依頼者のお金を預かることも多く、支払に窮した弁護士が横領するという事件は多いのです。競争社会にした結果、問題が起こってから「間違いでしたので合格者を減らしましょう」では済まない問題です。

そもそも、ロースクールについてももっと設置大学は少なくする予定であったのに、各地で自分のところも自分のところも設置すると言い出したがために、予定されていたよりもロースクールの学生の定員が増え、ロースクールを作ったけれど合格者が出なければロースクールの運営が出来ないので、合格者を増やせと本末転倒の議論をしているような状況があり、社会における法律家の需要というよりは、ロースクールの運営のため合格者を増やそうとしている感があります。

しかし、結果的に合格者が増えたとしても、就職先がないとすれば、多額の学費を払ってロースクールに行く学生は減るでしょうし、出生率が低下しているのですから、今後子どもは減少していくので、大学運営はそもそも厳しい状況になってくるのですから、場当たり的な考えで増員を叫ぶことはいかがなものかと考えています。

現在就職先がなくなっている状況は、弁護士の市場規模がその程度だということも言えるのではないかと考えていますし、隣国の韓国における増員後の状況も増員を考えるにあたって規制緩和委員会で議論された形跡がないのは議論としてお粗末なものであることを示す何よりの証拠ではないかと考えています。

一部の利益を守るために、それがあたかも国民の要請のように議論することは危険であり、国民が弁護士に求めるものを見極めていく必要があると考えています。

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