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2006年6月18日 (日)

破産と免責

 破産をしても、破産決定というものは裁判所が、「法律的にはこの人は支払不能です」という宣言をしたにとどまるので、その後に免責許可決定というものをもらわないと、法律的に破産した時に債権者にあげた債権については支払義務がなくなりません。
 免責不許可決定という決定をもらってしまうと、せっかく手間暇をかけて破産しても、結局支払義務は免れられないことになってしまうのです。
 この、免責不許可というものはどんなときに下れるかというと、浪費であったり、賭博行為が原因で負債を抱えた場合に下されます。たとえば、酒を飲みまくって借金を作ったり、風俗店で遊びまくって借金を作ったり、身分不相当な買い物をしまくった場合などに免責不許可となります。7年以内に免責を受けている場合も同じです。
 しかし、免責が許可出来ない場合でも、いろいろな事情を考慮して、裁量免責といって、裁判所の裁量により免責が許可される場合もあります。
 私は、11年間の弁護士生活で、数多くの破産事件を手がけてきましたが、まだ免責不許可決定をもらったことはありません。
 免責不許可となるような理由がある場合に、裁判所が裁量によって免責を出してくれるかどうかは、もちろんその破産者がどのような行為をしてきたかによるのはよるのですが、代理人である弁護士のがんばりによるところも大きいと思っています。
 他の弁護士から、事例研究などで、免責不許可となったケースを聞いたりしていますと、申し訳ないのですが、その弁護士のやり方がまずいと思われる事案がほとんどです。
 事件を受けた以上、その破産者のいいところを探してあげて、免責が許可されるように努力することが重要だと思いますが、代理人である弁護士の活動が不十分だと、がんばりによっては免責が取れたであろう人が、免責が許可されなかったということになりかねません。
 他の弁護士から免責が許可されないと言って断れたケースでも、私が依頼を受けて免責が許可されたケースは多くありますし、7年以内に破産して免責を受けられたケースも体験しています。
 どのようながんばりが必要かは、一言で言いがたいノウハウになってしまうのでここではなかなか書けませんが、依頼する弁護士によって、結果が変わってくるケースというのは、正直やはりあるというのが私の実感です。
 もちろん、原則免責が許可されないケースでは、基本的に借金額の5分の1を支払えば残りは支払わなくてよいという個人再生という手続きもありますが(これは免責不許可となる事実があっても関係がないので)、毎月支払っていけるという見落としが必要なので、誰しもが利用できるとは限りません。
 これから弁護士が増えると、こうした経験がない弁護士が増えていくのではなかろうかと考えると暗澹たる気持ちになります。
 もちろん、免責が許可出来ないケースで多々免責されるということになると、モラルはどうなるのだという指摘もありますが、経済的に依頼をされた人が出直し出来る可能性があるのであれば、やはり債権者の犠牲のもと、免責は許可されるべきだというのが破産法基本的考え方である以上、免責が許可されないケースに形式的に当たるからといって、諦めるのはいかがなものかと思うのです。

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