柳生武芸帳はおもしろい
以前津本陽の小説を紹介したが、柳生武芸帳というのは、五味康祐という作家が書いた長編小説である。このたび、文庫として復刊した。
私はこれまで五味作品は短編をいろいろな作家を集めた短編集で読んだだけであったのでそれほどの印象はなかったのであるが、この上下巻はおもしろい。
文体の重厚さもさることながら、その行間を読ませる妙。展開。非常におもしろいのである。書きすぎることがいかに小説をだめにするかがよくわかる。最大の見せ場でも筆を出来る限り省略して剣の対決シーンを書いているが、息が詰まる臨場感がある。
北○謙○の作品はたまに表題とかにひかれて買ってしまうが、彼の作品は読んでいる打ちに何でもかんでもかいているから冗長で疲れてくるのとは全く違うのである。ちなみに私は、北○謙○の作品は数冊買ったが最後まで読んだことがない。何で売れているのかふしぎである。
五味作品を探したが、今は廃刊になっているものも多く、あまり入手出来ないようである。何とか廃刊になっているが在庫が残っていたものを何冊か手に入れて、今少しずつ通勤電車の中などで読んでいる。宮本武蔵が2人いたという仮説から書かれた、「2人の武蔵」もおもしろい。日中仕事で目を酷使するので、中々夜には読めないものだが、少しだけと思って読み始めると短編だと1つの話が終わらないと本をおけない。
こういうエンターテナーは少ないと思う。最近では隆慶一郎の作品がこうしたテンポがあり、最高であった。
体調もほぼ戻ってきたし、気分だけは剣豪である。
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コメント
体調が順調に回復に向かわれているようで良かったです。
修習生や若手の弁護士にとって参考となるコラムが多く、勉強になっています。「これをやりたいと決めつけて~」のコラムでも考えさせられました。僕も、やりたいことを見つけようとは努めながらも、オープンな姿勢は保っておかないといけないなと思いました。
投稿: 牧野誠司 | 2006年10月29日 (日) 11時15分