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2006年12月28日 (木)

決めつける弁護士

 事実について争いがある事件だと、双方の主張や証拠を出し合っていくことになる。
  最終的には裁判官が判決をする訳だが、途中で和解になることもあるし、訴訟外でそれぞれ証拠を出し合って交渉することもある。

 裁判であればともかく、訴訟外で交渉してまとめるべき事件で困る相手方弁護士は、「決めつける弁護士」である。すなわち、「自分のところのこれこれこういう証拠からすれば、自分のところが主張している事実が事実に間違いないから、いうことを聞け」、又は、「こちらの主張している法律論が正しいに決まっている」といってきて一切譲歩しようとしないのである。

 しかし、これは交渉時においては、非常に不遜な態度であるし、実質的には交渉を拒否していることにほかならない。
こちらはこちらで証拠を提示し、主張を展開しているのに、その主張(こちらも同じ資格を持った弁護士なのだから、こちらもこちらなりに理由があって主張をしているのである)が、「自分の考えからすればあり得ない」と堂々といえるのは、「自分はどの弁護士よりも事実認定について能力が優れている。あなたは自分より下位の弁護士だから自分のいうことを聞きなさい」といっているのと同じであることに気づいていない。
 そして、往々にしてこうした弁護士は、真の意味での実力はなく、実は大○鹿ものであることも多いのである。
 このような弁護士は、「紛争を解決する」能力を持たないといってもいいだろう。
さらに、こうした弁護士は、後日訴訟で自分のところの主張が通らずに敗訴したときには、全て裁判官のせいにするのである。

 トレーニングされた弁護士が交渉をするときには、「双方の主張は主張として」、どのような解決があり得るかを議論するものなのである。解決が出来ないと判断するのであれば、「交渉はこちらはこう考えているのだから不可能である」と明確に述べるべきである。

もちろん判決までいかないと解決しない事件も多数あるが、判決を取りに行くことよりも、交渉で解決した方がよいと判断しなければならないときに、そうした判断をする能力がない弁護士がたまにいるから、紛争が弁護士のおかげで拡大したりしていまうことも往々にしてある。

 今年は今日が仕事納めであるが、このブログを読んでいる修習生や若手弁護士が、そのような大○鹿もの弁護士にならないよう、また、私も「裸の王様」弁護士にならないよう、平成19年度も研さんを積んでいきましょう。

 それでは、よいお年を…。

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コメント

解雇無効等で訴訟中の“やま”です。
いつもブログ拝見しています。

先日、証人尋問後に裁判官(35歳くらい)から和解勧告?がありました。びっくりしたのは、被告の弁護士が被告欠席なのに和解を拒否してしまったので判決になるというということです。

詳しい理由は分かりませんが、被告弁護士(50歳代くらい)が自論の法律論を譲らないようなことらしいです。裁判官と相当口論していたと私の弁護士(32歳)は言ってました。

投稿: やま | 2008年10月23日 (木) 15時13分

 いい判決が出るとよいですね。
 あらかじめ被告本人と和解はしないということで話しをしてあったのかもしれませんが。
 間違った見通しを言って、そのとおり訴訟が進まず、依頼者から「話が違う」といわれて、依頼者に迷惑をかけたあげく辞任して、後は知らないという弁護士もいます。

投稿: 中 隆志 | 2008年10月24日 (金) 15時03分

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