離婚と財産分与
離婚にあたっては、夫婦それぞれが夫婦の財産形成に寄与した割合に応じて財産分与というものがもらえる。扶養的な要素も含むとされている。
最近は年金分割のことが取りざたされているが、これも基本的にはこの財産分与というものの中で考えられるものである。
財産分与をするときに、夫婦で築き上げてきた財産が対象となるので、夫が父親から相続した不動産などは対象とならない。
離婚にあたってけっこうやっかいなのが住宅ローンの取扱である。妻が保証人になっている場合には、この保証から外れておかないと、後日銀行から「夫が支払えなかった住宅ローンを支払って下さい」と連絡が入ったりする。不動産を競売にかけて全額支払えることは稀で、だいたい残債務が残る。そのためだけに破産をすることだってある。銀行との間で、離婚後は夫が支払っていくという約束を夫婦の間でしていても、第三者である銀行を拘束しない。
保証を外すと一言でいうが、銀行はそう簡単には納得してくれない。他の保証人を用意しろと言ったりいろいろとしてくる。
妻が名義をもらってそのまま住み続けて夫がローンを支払うというような内容で離婚している夫婦もいるが、たいてい夫がローンを支払わなくなり競売にかかって困って法律相談に来たりする。これも銀行を拘束しないことは同様であるから弁護士のところに来てもいかんともしがたい。
離婚に際して適当な約束を交わす夫はたいてい人物がいい加減なので(真面目な人間なら出来ないような話をほいほい約束しない)、支払わなくなる可能性も格段にあがるし、すぐに次の妻を見つけて「こっちの生活が大事だから」とか言って約束のローン支払いをしなくなったりするのである。
そうかと思って、妻側がかわいそうだなと思って相談を聞いていたら、しばらくしたら妻側も再婚していたりする。
話が逸れたが、平成19年4月以降離婚訴訟が増加する時期が来るのではないかということが言われているが、そこでも財産分与は大きい問題となることであろう。
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コメント
中さん
愛媛の山口直樹と申します。私も中さんと同期の48期で、大阪修習として木下さんや白倉さんと仲良くさせてもらっていました。
中さんのブログは毎回楽しく拝見させてもらっています。
今回の司法改革についてのご意見は私も全くそのとおりだと思っています。先日、スタッフ弁護士の会費の減免につき、日弁連から各単位会に要請がありましたが、愛媛では、1票差で否決されました(規約の改正には3分の2の賛成が必要なため)。しかしながら、「自分は嫌だが必要なのでお前がやれ」という勝手な日弁連とある年代以上の弁護士、および、一生イソ弁でいいと考えて本質を真正面から見ていない若手、中堅の中、この問題がいつ再浮上するか分かりません。そこで、この、中さんのブログの文章を会員に送らせて貰ってもよいでしょうか(今すぐ使いたいというわけではありませんが、本質をついた分かりやすい文章で非常によくまとまっていると思います。)
投稿: 山口直樹 | 2007年2月18日 (日) 09時31分
山口さん、コメントありがとうございます。同期が読んでいただいているとは嬉しい限りです。
私のつたない文章でよろしければ配布いただくことは結構です。
もしよろしければ、法曹人口問題を考える会にもご参加下さい。ドイツから学者を呼んでドイツの現状を聞いたり、日弁会長候補者に公開質問状を送付したりと、草の根活動をしています。この会が発端となり、規制改革委員会の司法試験合格者9000人構想にとりあえずは歯止めがかけられました。私も今日弁の委員として、法曹人口のPTに参加しています。
ところで、支援センターとの関係は非常に難しいものかありますね。過渡期ということで混乱しているところもあるように思います。あとは中央の情報量に比べて、各会員に必ずしも正確な情報が伝わらないということで、よけいに議論が混乱しているように思います。
弁護士が付託された被疑者国選などを弁護士が出来なければ、ヤメ副検事、ヤメ簡裁判事に、国選限定の弁護士資格を付与して、被疑者国選をやらせようという案は政府の方にくすぶっていて、これとの関係もあり何とか被疑者国選体勢を作りたいという思いがある一方で、日弁の上層部になるような人は被疑者国選などやらないでしょうから、もう一つ切迫感がないのでしょうね。なんでも自分でやらないと実感がわかない。私も民事の消費者被害の方で、いわば国選がないからほとんど「手弁当」で消費者被害事件をやっているので、被疑者国選は登録出来ておりませんが。
弁護士会の中が統一されていないと、弁護士会に必ずしも登録しなくてよい、弁護士にも司法書士のように監督官庁を作って自治をとりあげるという構想も政府には根強くありますので、弁護士自治にも切り込みがされる可能性もありますので、ゆゆしき問題です。
投稿: 中 隆志 | 2007年2月18日 (日) 10時56分