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2007年3月16日 (金)

弁護士は現場に行け

 勤務弁護士時代に、ボスから教わった数少ない言葉の1つである。ボスはあまりああしろこうしろと言わない人であるので、あまりこうしたことを言わないのであるが、弁護士になった当初に「中君。写真とかだけで見て分かった気になったらあかん。弁護士はやっぱり現場に行かないとあかん。現場に行くことで、写真とは違うニュアンスが分かるし、イメージも沸いてくるからな。」ということであった。

 ということで、私もボスと交通事故の現場を見に行ったり、ボスから任された事件では自分1人で現場に行くようにしていた。今でも時間の許す限り現場に行くようにはしている。
 刑事事件で家が燃えてしまった事件があり、現場に行くと焼け跡は非常に凄惨な印象であったのが、警察が撮影した写真ではそれほど焼け跡がひどく写っていなかったことがあった。これは弁護人である私にとってはありがたく、執行猶予がついたのであるが、裁判所があの現場を見に行っていたら果たして執行猶予がついていたかどうか。

 ボスも還暦を越えたが、今でも現場に行っているようである。
 探偵小説の中には安楽椅子の中で事件を解決する探偵が出てくるが、弁護士の場合にはそのような訳にはいかない。書面だけで解決するという訳にはいかないからである。

 

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