1人旅行記
勤務弁護士の頃、あまりに仕事が忙しく、夏休みが取れなかったので、学生時代は金がなくて出来なくてあこがれていた1人旅行をすることにした。事務所にも行く先を告げず、家族にだけ行き先を告げて行ったのである。
憧れていた芦ノ湖でニジマス釣りをして、その後箱根の温泉で湯治をして帰ってこようというプランを立てた。その頃は本当に仕事が忙しくて心身を癒すつもりであった。
芦ノ湖に2泊してニジマスを狙う。しかし、足下までは追ってくるが、食いつかない。結局2日間釣って坊主であった。芦ノ湖湖畔のロープウェイに上って富士山を見たり、いろいろと観光もするが、1人旅行というのは暇である。本も持参していたが、そうそう本ばかりも読んでいられない。
憧れの芦ノ湖のニジマスを諦めて温泉宿に向かおうとした私の横で、どぼどぼとニジマスの成魚が放流され、その真横で東京モンと思われる釣り人達が次々と釣り上げていたのであった。放流日が決まっていたのである。
ただ、これだとある意味釣り堀だと代わりがないので、やはり放流後少し経って少し野生化したニジマスを釣り上げる方が本筋であろうと考えて(決して負け惜しみではない)芦ノ湖を後にする。渓流や湖のルアーでは、滋賀県の渓流で30センチメートルほどのアマゴを釣った以外、いい目をしたことがない。そういえば、ブラックバスもあまりいい目をしたことがない(最高は25㎝くらいのバスである)。北海道でも支笏湖で全く釣れなかった。
次は温泉である。明治の文豪がしていたような湯治を夢見て温泉へ。割合人がおらず、湯自体はいい湯であった。
しかし。食事はレストランで他の人はみなアベックであった。うーむ。箱根は東京から近いこともあって、私からしたら遠い温泉郷であるが、東京からすればアベックの宿だったのである。大失敗である。
アベックだらけのレストランで1人でしかも入り口のところに座らされて食べる食事は苦痛である。
最近お一人様といって1人で食事を食べたりするのが流行っているらしいが私は昼ご飯を食べるにも1人でいける店が決まっているほど1人で飯を食べるのは苦手な男であるから、これは大変苦痛であった。夜ご飯はとても1人ではいけないし、誰かと行くとしても店が完全にいくつかに決まっている男にこの仕打ちはつらかった(仲間内では私の夜の生息範囲は河原町竹屋町から川端三条を少し下がるくらいであることは周知の事実である)。
もう1人、それなりの年齢の男性が1人で寂しく飯を食べているが、どうもこちらは女性に振られて1人のような感じである(食事が2人分出ていたからである)。あのオジさんよりはましかと思うが、料理の味も分からず、早々に風呂に入って寝る。
結局、1人でレストランで飯を食べるつらさもあったし、1人旅行は暇で暇で寂しいものだということがわかり、二度と1人旅行はしないと心に決めて、1日旅程を早めて帰途についたのであった。もう約9年くらい前の出来事であるが、それから1人旅行はしていない。
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コメント
一人旅の寂しさ,大変共感いたします・・・。僕も一時いろいろあって海外に一人旅に行きましたが,結局「旅は一人じゃ寂しいよね・・・」という結論に至りました。1ヶ月くらいタイとベトナムにいたんですが,その内27日くらいはずっと日本に帰りたかったです(笑)。一人旅がすごく好き!という方もたくさんいらっしゃって,僕も「一人旅」という響きにはあこがれるのですが,寂しいもんはどう頑張っても寂しいので,もうやめとこうと思ってます。
ところで,修習中にはなぜかお話しすることがなかったのですが,僕は昔かなり釣り好きでした。ですので,京都でお仕事ができるようになったら,是非先生と一緒に釣りに行けたらいいなと思っております。
投稿: M野です。 | 2007年3月20日 (火) 07時53分
京都弁護士会には釣りクラブがあるので、是非いきましょう。
投稿: 中 隆志 | 2007年3月21日 (水) 18時31分