相続人さん、コメントありがとうございます。司法制度には限界があるので、中々全ての人に納得・理解してもらえることはないかも知れませんが、司法界自体がその努力をしていく必要はあるでしょうね。裁判官の中には、世の中に出したら絶対に通用しないようなおかしい人物も多いのですが、彼らはそのことが分かっていません。
さて、表記の記事である。
最近、消費税を上げざるを得ないという記事や、日本の税負担率は諸外国に比べて低いという記事が書かれることがある。
しかし、情報には意図的な誤謬(ごびゅう)と、意図しない誤謬が含まれることがあるので、自ら吟味することが必要である。以下は私が個人的に収拾したりした情報から整理したものであるので、あくまで私の個人的見解であることはお断りしておく。
税金を上げるよりも前に、やらねばならないことがあるはずであるが、それが十分尽くされた上で議論がされているかというと、全くそうではない。少しずつ記事にされているが、官僚の天下り先に言い値で業務などを発注することについては、メスは入れられていない。支出を減らすことが出来ないか十分検討した上で増税ということになるであろうが、それはなされていない。
真剣に支出を削り、天下りをなくせば、この国が抱える借金は長期的に見れば返済出来るものだと私は考えている。
また、日本の税負担が低いというのも詭弁であり、高速道路に乗るときに通行料を取るなどして、間接的には税金を納めているものは多いにも関わらず、そうした全体を整理した議論はされていない。
日本経済新聞ですらそうなのである。これが意図的であるとすれば、どのような意図があるのか理解に苦しむところである。最近の報道が一辺倒で、違った視点、ないしは正しい視点での報道が時としてされないことがあるということについてもマスコミの能力低下があるといわれても仕方があるまい。
この国をこのような形にしたのは、根本的には国民なのかもしれないが、国民から選ばれた政治家であり、官僚達である。社会保険庁の腐敗が取りざたされているが、これは氷山の一角であろう。過去、特定の世界の利益を確保するために様々な施策がなされてきたのであり、整理回収機構もその一つである。整理回収機構の常務が債務者と海外旅行に行き、その後多額の債務免除をしたという記事が出ていたが、金のあるところ腐敗があり、これに目を光らせて一つずつそうした利益団体や腐敗をなくしていくことが本来の政治の使命なのであろうが、彼らも最終的には国民の利益よりは自らの利益確保にいそしんでいるように見えてならない。
弁護士が同じことをすれば即懲戒である。高い職業倫理が求められるのは何も弁護士だけではあるまいと思うのである。
弁護士に関しても、情報操作がされ、かつ、時の勢いに負けて増員に同意せざるを得なかったという経緯があるように思われる。
司法制度改革審議会で、今後の増員人数について、フランス並みにするために、年間3000人という数値が出た時に、弁護士会は驚いて反発したが、このフランス並みにするというフランスの実情が正確に整理されていたかといえば、過去の資料を見る限りそのような資料は見あたらない。調査には行っているようであるが、根本的にこれだけの制度改革をするためにフランスの制度について十分な調査がされたとはいえないと考えている。
むしろ、日本には税理士、司法書士、社会保険労務士などの法律隣接職が多人数いるにもかかわらず、そことの関わりがあまり議論されることなく「まずはフランス並み」ということが1人歩きした観がある。これが意図的なものであったかという点については、検討の余地はあるであろうが、私は個人的には意図的なものがあったと考えている。
それは一つには大学側の意向があったように思える。ロースクールが出来、多人数の司法試験合格者が出るようになれば、それは一つのビジネスとなる。子どもの数が減っていき、統廃合や合併などが現実のものと見られる大学側にとって、社会人が再度入学する可能性があるロースクールというものは一つのビジネスチャンスであったのであろうと考えている。
そのために、最低でもロースクールがビジネスとなるためには、3000人の合格者が必要だったのであろう。このときの審議会の座長は、大学関係者であり、弁護士会側に、「本気で改革をする気があるなら、3000人に同意出来るはずである」と2者択一を迫られたとの証言もある。最近では、大学関係者が多数在籍する規制改革審議会が、合格者9000人構想を議事録の中では真剣に出してきていた。これは国民のための会議のはずではないのか。特定の利益団体が自らの利益を確保するために意見をいうだけの会議なのか。
そして、司法改革の時代、弁護士会側でも、突然ある大物弁護士から、「3000人が妥当」という言葉が出てきて、弁護士会はあまり反対が言えなくなってしまったという経緯がある。そのころ、その人物に逆らうことは、日本の国の世論を敵に回すことでもあった。その人物がどのような思惑を有していたかはわからない。国民全体のことを考えたのか、あるいは自らの名声欲だったのか、はたまた政治的判断もあったのかー。
そして、安く弁護士を利用したい経済界からも、「増員すべき」との声が上がり、行政でも経済界でも弁護士資格がある者のニーズがあるとされた。
3000人決定の経緯についても、利益がからみあったり、それがために情報が操作されたりした結果決定がなされているように思われてならない。
その結果、被害を被るのは国民であり、その情報を信じたロースクールの学生であり、真面目に仕事をしてきた弁護士である。
ところが、最近の調査では、行政でも経済界でも、弁護士資格のある人を雇用する予定はほとんどないことが判明してきた。そして、司法改革で言われていた裁判官・検察官の増員はほとんどない。その結果、3000人の合格者の大半は弁護士を目指すことになるであろうが、これを受け入れる体力は弁護士会にはない。
大量の就職浪人か、いきなり独立をする弁護士が大量に生まれる時代に突入しつつある。しかし、いきなり独立をした弁護士に事件を処理できる能力は普通ない。これから弁護士を依頼する人は、どのような経緯で弁護士をやっているのか調査しなければ依頼をすることを検討しなければならない時代に来たのかもしれない。
そして、ロースクールの乱立による司法試験浪人、司法試験考査委員の問題漏えい疑惑。
社会的要請ではなく、一部の人たちの利益や思惑で出来た制度は崩壊する。
増税に関してもしかりである。心ある政治家や官僚が私のブログを読んで一念発起してくれればよいのであるが…。