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2008年3月12日 (水)

はまる

 小さいころ、釣りにはまり、父親に頼み大阪城以外にも出かけた。

 あるとき、どこかの緑地に出かけて、そこの溝のような川でフナがよく釣れるのて釣り人も多く、私も釣っていた。

 その川の釣る場所の後ろ側には、あちこちに泥状のところがあった。ヘドロのようなもので、見るからに底がなさそうで恐ろしい。
 私はそのヘドロのようなところにはまらないよう気をつけて釣っていたが、表面の泥が乾いていて、実はその下がヘドロというところがあったのであった。

 子どもなので表面だけ見て大丈夫と思い移動すると、見事にその下はヘドロで、はまってしまい、死ぬかと思った。
 あがいたが、ああいうのはあがけばあがくほど沈むのである。
 胸まで沈んだところで、釣りをしていた知らないオジサンに助けられ(父親は私そっちのけで釣る人なので)、引き上げてもらもらい御礼を言って父親のところに行くと、父親は心配するどころか泥だらけの私を見て大爆笑するのであった。
 帰り道、ヘドロまみれの体を公園の冷たい冷たい水で洗い、ぼとぼとの体で車に乗って帰った記憶がある。

 あのとき、ヘドロに沈んでいたら、今の私はなかったのである。
 釣りは楽しいが、水辺であるので危険とも隣り合わせである。

 N村T雄のようにヤマビルに喰われたり、自分で自分の指を釣るくらいであれば命に別状はないが、水や汚泥に沈むと死んでしまう。

 私は父親が自分の釣りに没頭する男で、小さいときから何度となく危険な目に遭ったので、釣り場では物凄い慎重に行動する男になったのである。

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