一発逆転の証拠
たまに相手方の弁護士で、最後の方に一発逆転(とあちらが考えている)証拠が出てきて、「これで決まりでしょう」などという顔をしていることがある。
私も勤務弁護士時代、そのようなことがあった。ボスも何回か相手からそのような証拠が出たことがあったという話しになった。2人で話をした結論は、「一発逆転の証拠など中々ない」ということであった。
主張や証拠は全体として裁判官も判断するであろうから、一つ一つの証拠のつながりや主張との整合性も含めて検討されるべきことがらであるというのがその理由である。
逆に、依頼者が「これさえあれば」と考えている証拠が役立たないこともある。
心証を取るのが早いとされる裁判官もおられるので、心証が固まった後に証拠提出をしてもどうかなどという議論もあった。あまり最後の方で出すのはやはりよろしくないだろうという結論に達している。
時に法廷でご満悦で逆転の証拠だと考える証拠を出して、こちらが検討して反論するというと、「これだけの証拠があるのに何を反論するのか」などということをいう弁護士もいるが、えてしてそういう事件は、その証拠に頼りすぎてしまい相手の弁護士は他のところの主張立証がおろそかになってしまい、ころっと負けたりするものであるというのが印象である。
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コメント
固定概念にとらわれて他が見えなくなることはいろんな場面で見られますね。母が眼鏡をかけたまま「眼鏡がない」と家の中眼鏡を探している姿を見て、眼鏡をしたまま寝てしまったという事実を忘れて、いつも外して寝ているからかけていないと思い込んでいるみたいでした。(:o:)
投稿: ミッフィー | 2008年5月27日 (火) 14時22分
私もよく自分で記録を机の上において、「記録どこやった!!」と事務員に怒って、自分の机から出てきて「エヘヘ。ゴメン。」といっています。
投稿: 中 隆志 | 2008年5月27日 (火) 18時28分