読書日記5月25日
ここのところの読書日記。緊急の事件が入りへろへろであまり読めていないが…。
武将列伝、戦国爛熟編。海音寺潮五郎である。名参謀の竹中半兵衛、最終的に天下を取った男徳川家康が登場する。家康を描かせれば司馬遼太郎が一番だと思っているが、海音寺の評価もまた愉しいところである。これは歴史好きであれば欠かせないシリーズであろう。
司馬遼太郎「言いふらし団衛門」。大阪の陣で討ち死にした塙団衛門は、それほどの武功がなかったにもかかわらず高名となったのは自らを高く吹聴して回ったからであるという短編。戦国時代の女性に貞操という観念がなく、「抱かれたい」と思えば抱かれるというものであったというようなくだりも描かれている。短編集である。他、大阪の陣で橙武者といわれた恥を見事すすいで討ち死にした薄田兼相の系図をめぐる短編も秀逸である(橙は、飾り物であるので役に立たない武者という意味である。薄田兼相は、大阪冬の陣で陣所を抜け出し遊女を買いに行っている間に陣を落とされたため、役に立たない武者という意味で橙武者といわれたのである)。
「賊将」池波正太郎。人斬り半次郎と呼ばれた中村半次郎を描いた表題作他短編集。
おそらく、この短編を元に長編「人斬り半次郎」を池波正太郎は描いたものと思われる(池波正太郎は短編を後に長編に改編していることがままある。これは歴史作家ではないが、横溝正史も同じ。)。後の作風に比べて、やや作品が練られていない印象であった。
| 固定リンク
コメント