読書日記9月5日
「もう疲れたと思ったときに読む本」斎藤茂太著。
経営のことや人事、事件のことで私も人並み悩むこともある。「もう嫌~」という気持ちにならないかといえば嘘になる。本屋で見て購入。著者は斎藤茂吉の孫か子だったはず。
書いてあることはためになるが、これらを実践するのが中々難しい。
なにがしらかのヒントになる。
「西郷札」松本清張の新潮文庫の傑作短編集シリーズ。松本清張の人間のあぶり出し方はやはりすごい。弁護士にとっても大変参考になる。
良かった作品は、徳川家康の参謀であった本多正信とその息子である本多正純の絶頂と凋落を描いた「戦国権謀」である。本多正純は、いわゆる「宇都宮吊り天井事件」で失脚し、その後は東北地方で小さい部屋に押し込められて外出も出来ず70歳を越えるまで生きた。一時は権力の絶頂にあった本多正純がなぜ没落したのか。これぞ正に人間社会のドラマである。
父親の本多正信は、権力を持ったものが大きい力を持つとろくな事がないことを苦労人であったが為に分かっていて(彼は三河一向一揆の時に家康に敵対した後三河を出奔した。長年諸国を流浪し、初老といってもいい歳で家康に再度仕えたので、この間様々な目にあったと思われる)、生涯小禄で通したが、二世の正純にはそのようなことは分からないので、加増を受けた。また、人を人とも思わない言動が多かった。
結果的に妬みや恨みを買い、権力闘争に負けて、没落したのである。
三国志の中で、曹操に使えた買ク(くの字が出てこない)は、知謀の人であり、魏国でも重用されたが、平素は人との付き合いを全くせず、質素に暮らしていたという。終わりを全うするためにはこのような処世術が必要なのである。
リアル・シガー・ガイド 馳星周著。作家の馳が、自らのシガー道を語った一冊。最後に北方○三との対談が極めて極めて余計であったが、それ以外は楽しめた。喘息持ちが判明した後は、太いシガーは吸えないが…。
項羽と劉邦(上)(中)(下) 司馬遼太郎著。秦が滅んだ後に天下をかけて争った項羽と劉邦の戦いを描く一大叙事詩。天下を治める徳とは何か。また、組織の中で生きていく為の処世術とは何かという人間模様が司馬の語り口で描かれている。
実はこの作品は、大学生くらいの時に読んだのだが、その時はいまいちその深みが分からなかったので、実家の引越の際に散逸したこともあり再度購入して読み返したのである。
歴史小説は、ある程度の歳にならないと分からないものであることを再認識した。
私がさらに歳を取った時に司馬作品を読んだら、37歳の時の私は何もわかっていなかったとなるのであろうが。
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