読書日記11月28日
「箱根の坂」(上)(中)(下)。司馬遼太郎。戦国時代の関東の覇者北条氏の基礎を築いた北条早雲の物語。物語は、北条早雲の謎の前半生に筆が割かれている。
北条早雲は戦国時代には老人(死んでいてもおかしくない)と考えられた56歳にして今川氏親より興国寺城を与えられ、城主となり、その後、伊豆の混乱に乗じて伊豆を手中に収め、88歳で死ぬまでに伊豆のみならず相模全土を支配下に置いた。戦国時代の幕を開けた人物として、斎藤道三とともに語られることが多い。津本陽の「老いは生のさなかにあり」というハードカバーでも取り上げられているが、そのパワーの源はどこにあったのか、興味がつきない人物ではある。
なお、上杉謙信や武田信玄と戦って有名な北条氏康は早雲の孫であり、早雲の嫡男の北条氏綱も名将である。
小田原評定で北条氏は滅びるが、早雲から3代は名将が続いたのである。
「黒死病 ペストの中世史」 ジョン・ケリー。読売新聞の新しい本の広告を見るのも楽しみなのだが、そこで表題を見てすぐに購入。以前、「4000万人を殺したインフルエンザ」というスペイン風邪の正体を探るドキュメンタリーを読んで面白かったので、黒死病と呼ばれた中世のペストの実態を描いたということで期待して読んだのだが、期待に応えてくれる一作だった。
衛生状態や栄養状態が悪かったが為に死亡率が高かったとはいえ、都市によっては人口に対する死亡率が70~50%に至ることもあったという黒死病が現代によみがえらないことを祈るしかない。
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