壊れる万年筆
万年筆は、「万年」筆のはずであるが、やはりモノである以上壊れる。
アウロラのインク漏れは相変わらずで、時々指が青色に染まる。
弁護士になって数年目に買ったパーカーのデュオフォールド(コナンドイルと同じもの)も、日々の打合せのメモや尋問の際のメモを取るのに使用していてさすがにペン先が摩耗して1本だめになった。キャップが壊れたこともあるのだが、同じものを買って今も日々のメモ取りに使用している。
一番ショックであるのは落として壊れることである。
パーカーのデュオフォールドのブラック1本は、床に落とした時にキャップの蓋が取れてしまい、接着剤でくっつけたのだがどうもどこかに隙間があるようでインクが渇いてしまう。
そのため、万年筆墓場(壊れた万年筆を捨てられずに入れてある箱)で眠っている。
セーラーの長刀研ぎという名人が磨いだ万年筆は、物凄く書き味がよくて気に入って机で事務員への指示を書くのに使用していたが、落として先がぐにゃりとなった。名人が磨いだものであるので通常の修理ではどうしようもあるまいと思って墓場で眠っている。
長刀研ぎが壊れたので、同じものを購入して「さあインクを入れよう」と思って机の上に置いていたところ、ころころと転がって床にペン先から落ちて新品の先がぐにゃりとなり、1回も使用せず壊れてしまったこともあった。あまりのショックに数分間固まっていた。これも今は墓場で眠っている。
最後の話は、あまりにショックのため、半年以上経ってようやく人に話せるようになったのである。
私はまだ達観できないので万年筆を買い込んでしまう。モノに淫するようになってはいけないと誰かが言っていたように記憶しているが、万年筆に淫しているのである(コートもだが)。
こんなことではいけないと思いつつ、物欲があるからこそ働けるとも思うし、とりあえず万年筆はしばらく購入を控えようと思っている。
モノは大事にしなければならない。本当にそう思うのである。
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コメント
「万年筆墓場」っていいですね。
だいたい万年筆という言葉が好きです。
モノにこだわりモノを大切にする気持の現れですよね。
知り合いに、ちびた鉛筆を捨てないで大きなガラス瓶に入れてオブジェにしている人がいました。
大学までは万年筆を使いましたが卒業以後とんと使いません。
大人の印みたいでしたね、腕時計と万年筆。
投稿: ふなまま | 2008年12月26日 (金) 03時02分
ウルトラマンに「怪獣墓場」というのが出てくるのですが、そのイメージです。
たぶん使うことはないのかも知れないのですが、私もモノに対する愛着が深い方で、なんとも捨てられません。
まだ未使用の万年筆もあるのに、新しいのが欲しくなるという悪循環に陥っております。
投稿: 中 隆志 | 2008年12月28日 (日) 23時36分