読書日記4月29日
「魔術はささやく」新潮文庫。宮部みゆき。
最近お気に入りの宮部みゆきの作品である。若干トリックとストーリーに難があり、理由や火車と比較すると、構成等に難がある気がしたが、作品全てが完璧という作家はいないので仕方がないのかも知れない。
「花妖譚」文春文庫。司馬遼太郎。
文庫に未収録の司馬作品集ということで新刊の案内で新聞で見たので即購入(新聞の新刊案内はよく見ているのだ)。司馬遼太郎が、本名の福田定一名義で発表した作品がほとんどである。作品の中では、ハンの死を告げる使者として、アジアからヨーロッパまでわずか10日ほどで駆け続けて、使者としての役割を終えた途端に絶命した使者の話が印象的であった。
「楼蘭」新潮文庫。井上靖。
幻の国楼蘭と聞くと、その幻想的な響きにシルクロードへの思いというか、想念をかき立てられる人も多いのではないだろうか。胡人という響きにも同様の何ともいえないロマンを感じる。
井上靖が描いた楼蘭国の悲劇の物語を表題作とする短編集で、早く読みたいと思っていたが、その時々でいろいろあっちこっちの本を読んでしまっていたので、ようやく読めた。
そのほか、中島敦の山月記に似た、狼災記という、異民族の女性と交わったがために、女性ともども狼に変じた武将の物語や、神話に基づく幻想的な短編、補陀落信仰(ふだらくしんこう)に基づく、補陀落渡海にまつわる悲劇を描いた作品など、どの短編も読後感に浸れること間違いなしである。
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