読書日記5月7日
「モンゴル紀行」朝日文庫。司馬遼太郎。
司馬遼太郎の街道を行くシリーズ。司馬遼太郎は少年の頃モンゴルに憧れて、数学が出来ないため大阪外大に入り、そこでモンゴル語を専攻した。その夢が適い、モンゴルを旅するのである。
モンゴル語は日本語と文法が同じで(ニカワ語というらしい。てにをはで、単語をくっつければ文章になるので、司馬によれば、大阪人が津軽弁を覚えるほどの容易さで覚えられるというのである)、過去に購入した古いモンゴル語辞典を引っ張り出して、広すぎるほどのモンゴルを旅し、ゴビ砂漠を行く司馬の筆が冴える。
「我らが隣人の犯罪」宮部みゆき。文春文庫。
宮部みゆきの短編集で、後の「火車」や「理由」に比較すると短編ということもあり、文章も平易で読みやすいが、犯罪行為をしたものが報われる話などがあり、倫理的にはどうなのかという話もあった。気楽には読める。
「花岡青舟の妻」新潮文庫。有吉佐和子。
紀ノ川などの作品で知られる有吉佐和子が、世界で最初に麻酔薬を使用して乳ガンの手術に成功した江戸時代の和歌山の医師、花岡青舟とその妻と姑を描く作品。
美貌の姑とその妻との間の憎悪の描写が圧倒的で、2人は花岡青舟に対する競争心からそれぞれが麻酔の実験台になるのである。花岡青舟の名声の裏での家族の苦悩と悲劇を描いた作品。これは名作。歴史好きは一読の価値有りであるし、文学作品としても一級品である。
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