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2009年11月 3日 (火)

読書日記11月3日

「海流の中の島々」(上)(下)ヘミングウェィ、新潮文庫。新装版。
 ヘミングウェィの自叙伝的小説。ある程度前に執筆していたようだが、ヘミングウェィはなぜか世に出そうとしなかったのを、遺族が公開したのである。老人と海はこの物語の副産物に過ぎなかったというふれこみであるが、そのあたりはヘミングウェィに聞かないと分からないであろう。勝手な決めつけかもしれない。
 主人公はパパ・ダイキリ(ラム・ベースのカクテルダイキリから砂糖を抜いて、ラムの量を二倍にしたカクテル)を数十杯飲むような酒豪であるところや、猫と犬と暮らしているところ、描かれる情景がキューバなどであることなど、ヘミングウェィを思い起こしながら読むことになる。
 ヘミングウェィはこれまでにいくつか読んでいるが、やはり遺稿ということもあり完成度という意味では今ひとつの感がある。

「剣鬼」新潮文庫。柴田錬三郎。
 時代小説の大家である柴錬が描く剣豪小説。
 年老いたことを悟った一刀流の始祖である伊藤一刀斎は、剣の流派の跡継ぎを決めるため、一刀斎の二人の弟子である御子神典膳(後に徳川家の剣法指南番となった小野忠明)と、善鬼との死闘を描いた「大峰ノ善鬼」、三十三間堂の通し矢に挑んだ男の悲劇和描いた「通し矢勘三」ほか6編。
 通し矢勘三に出てきて(もちろん架空の人物であろうが)、惚れた男の思いを遂げさせるためにすべてをなげうち、最後には女郎あがりのために国元に一緒には帰れず、身を引いていくお千という女性がけなげである。最近の結婚をちらつかせてお金をだまし取ったような話とはかけ離れている。

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