読書日記3月24日
「古城の風景 Ⅰ」新潮文庫。宮城谷昌光。
風は山河よりで日本の戦国史を描いた著者の古城を歴訪する紀行文だが、城に対する描写は少なく、城にまつわる武将の話などを書いている。司馬遼太郎の「街道を行く」を模倣している感がある。表現もなんとなく似ているような気がするところがある。
司馬遼太郎の思いで話しなども多々出てくるので、著者も司馬の影響を受けているということなのであろうか。もう少し古城の今の模様などを詳しく書いて欲しかった、と思う。
「W杯に群がる男たち」新潮文庫。岡崎健太。
サッカーの放映権がなぜ高騰したのか、なぜ日本はワールドカップの単独開催を獲得できなかったのかー。FIFAの裏でされている権力闘争とそけに踊らされた日本、関連する企業などの裏舞台を描いたノンフィクション。秀作であり、加熱するサッカー人気の裏を知ることは暗澹たる気持ちにさせられることも事実だが、それだけサッカーが魅力的なスポーツだということなのだということもまた痛感させられる。
「宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション(下)」文春文庫。
上巻中巻を呼んでこれから読む予定の本が積み重ねてある机の上で下巻が行方不明となっていたが、整理して発掘したので読んだ。
「生けるパスカル」と「鴉」が秀作だと感じた。
人間社会の闇を描かせたら松本清張はやはりすばらしい。多作であるが故の駄作もあることも否めないが、それでも清張の評価はこうした秀作で考えられるものだと改めて感じた。
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