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2011年6月 9日 (木)

所有権の放棄

 動産に関しては所有権は基本的に放棄できるが(登録などのあるものについては制限があるが)、不動産については放棄ということが出来ない。

 要らない不動産を持っている人は、困るのである。行政に寄付でもして受け付けてもらえればよいのであるが、それもしてもらえない場合、要らない不動産を持ち続けることになる。
 売却できる不動産であれば売却すればよいが、税金がかからない特殊な不動産だとそうもいかない。

 墳墓という地目があり、共同墓地として使用されている土地があるが、これは使用料は支払ってもらえていないことがほとんどで、墓をそこに建てることが目的なので、使用貸借という法律上の権利が墓の所有者に発生しており、かつ、墓を持つことは基本的にその使用貸借は永久に続くということになる。
 所有者が権利放棄したいといっても、誰かが名義をもらうことを引き受けてくれないと放棄も出来ない。
 そこに自信の家系の墓でもあれば格別、そうでない場合には余計にいらない。

 死を忌むものとし、死体をケガレたものとする物忌みの思想が日本には根付いているため、余計に「墳墓」という地目の土地を所有することに嫌悪感を感じるのではないかと思ったりしている。

 ただ、法制度として、土地の私有を認めている以上、権利放棄は出来ないのである。

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コメント

私も最近仕事で必要で調べたのですが,不動産の所有権放棄を認めるのが,我妻他多数説のようです。
但し,肯定否定とも判例はまだ無いそうです。

投稿: layer | 2011年6月14日 (火) 18時37分

 学説上はそうでしょうが、裁判をするとして、相手方は誰になるのか、不動産登記簿上はなんぴとかが必ず権利者として登記されている必要があること(地租改正の時に、地番をつけて、権利者を確定させている)、固定資産税の課税対象となっており、本人が放棄したといっても固定資産税法上放棄を認められる余地はないことなどから、私は学説が謝っていると考えています。

投稿: 中隆志 | 2011年6月16日 (木) 10時50分

所有権の放棄により不動産は国庫に帰属するので国を相手に訴訟を起こすのではないでしょうか?

投稿: | 2012年1月19日 (木) 17時12分

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