読書日記9月28日
「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」文春文庫。村上春樹。
村上春樹のインタビュー集。村上春樹の小説は、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」しか読んだことがない。一方、翻訳は何冊か読んでいて、早く次のチャンドラーの翻訳を出してくれないか心待ちにしている。
彼の文章はいいが、小説の方は理解不能なものが出てくるので、村上春樹が何を考えているのかがこのインタピュー集でわかるのではないかと思い、購入してみた。
小説家がどこまで本当のことを話をするのか私には分からないが、何となく村上春樹の小説はそういうことなのかということが分かる気になれる本のような気がする。
村上春樹の小説もまた読んでみようかと思うが、このインタビュー集は万人が読まなくてもいい本だろうとは思う。一作しか彼の著作を読んでいない私にとっては、分からない話ばかりであったせいもあるが。
「バビロンの魔女」河出書房。D・J・マッキントッシュ著。
インデイジョーンズのように、古代の謎を解く物語には心躍らされるので、つい購入してしまう。本屋で平積みされていて、題名と、その素材に興味をひかれて購入。
物語の素材はいいのだが、話が展開するまでが長すぎる。読み終えて、この小説は本当はもっと長編となる予定だったのが、著者が途中で力つきたか、あるいは本として出版する都合で、ある程度の長さに縮める必要が出てきて、後半強引な展開となってしまった感が否めない。そういう意味ではバランスが悪すぎるし、謎解きの部分も「なんでいきなりこうなるんや?」というところが多すぎた。また、情景の描写が少なく、主人公がどういうところにいるのか、どういう場面なのかのイメージもかなりつかみづらい。
また、最後にどんでん返しがあるのはこの手の物語にはつきものだが、そのどんでん返しも、前の部分との整合性を考えると、相当無理がある話となっている。キャラクターも立っておらず、素材負けの感が否めない。選んだ素材はよかったので、大変残念な感がある。
この手の作品を扱った中では、やはり、ポール・サスマンの「カンビュセス王の秘宝」が私の中では最高傑作である。先日読んだマギの聖骨と比較しても(マギの聖骨も作品としては不完全だが)、相当劣る物語である。題名に惑わされてしまった。
このあとシリーズが2作あるようだが、翻訳されても読むことはないだろう。
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