読書日記5月7日
「日本の路地を旅する」文春文庫。上原善広。
路地とは被差別部落のことを指す。被差別部落出身の著者が、日本の各地を周り、路地の痕跡を探すノンフィクション。被差別部落のことを知らない人も多くなっていると思うが、一読の価値はある本だと思う。
「立花隆の書棚」中央公論社。立花隆。
立花隆の蔵書を写真撮影し、その本を見ながら、立花隆が置かれている本について説明していく本。まずその蔵書の量に圧倒されるとともに、その本を血肉にしている立花隆という知の巨人の知性に圧倒される。こういうのを見ていると、自分の読書量が恥ずかしくなるし、もっと本を読まないといけないと反省させられる(本は弁護士としての仕事に役立つ部分が多いのである)。自分が死ぬとき、立花隆とまではいかなくとも、ある程度の蔵書は残して死にたいものである。
「ふしぎな取調室」彩風社。橘哲雄。
元警察官の書いた本で、本屋のレジのところにあったので、なんとなく購入。内容的にはとてつもなく薄く、若干詐欺っぽい感じもする。本にするには逸話が少なかったので、無理矢理イラストでページ数を増やしている。買う価値はないと思うが、内容的にはおもしろい(我々弁護士も刑事事件をするとき、とんでもない弁解をする被疑者や被告人に出会うので、わかる、わかるという感じもあった)。
「こんなの、はじめて?」講談社文庫。酒井順子。
エッセイストの著者のエッセイ。酒井順子さんのものの見方は鋭く、ですます調でとてつなくきついことを書いていたりする。
肩の力を抜いて本を読みたいときなどにこうしたエッセイはいい。当時の世相もわかる。
「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」新潮文庫。村上春樹。
私もアイラ島のモルトが好きなので、いつか読もうと思って手元に置いていたのだが、連休中も仕事は自宅や出勤しつつしていたのだが、普段よりはやはり生活はゆったりであったので、そのゆったりとした気分の時に読むのがふさわしいと思い、ウイスキーを飲みつつ読んだ。村上春樹のこの本によるとシングルモルトをロックで飲むのは邪道ということだが、私の懇意にしているバーのオーナーに聞くと、それは好みなのでいちがいにそうはいえないということであった。
今までロックで飲んでいたので、これからも気にせずロックで飲もう。内容的にはアイラ島の探訪記で、ウイスキーに興味のない人は読む必要なし。
「国家・宗教・日本人」講談社文庫。司馬遼太郎。
井上ひさしと司馬の対談をまとめたもの。表題に即して、二人の偉大な作家が語り合う。かなり前の対談であるが、今でもその内容が新しいことに驚かされる。
「ノルウェイの森」(上)(下)講談社文庫。村上春樹。
こうして並べてみると講談社文ばかり読んでいるが、これはたまたまである。
流行している時にその本を読むのが好きでないので、あえて今読んでみた。
こうして読むと、物語の主題というものは限界があるのだという気がする。
夏目漱石が作った小説のモデルというのは、言葉づかいだけではなく、物語の主題としても現代を拘束しているのではないかという気がする。
内容はこれから私のようにあえて読む人がいるので書かないが。
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