読書日記8月6日
「あの日、僕は旅に出た」幻冬舎。蔵前仁一。
旅行人という本を長年出版してきた著者が自らの人生を振り返って書いたもので、過去、著者はいくつもの旅行体験記を出版するとともに、自分のところからおもしろい旅行記をたくさん出してきている。
一読したが、「こんな人生は自分には送れない」「こんな旅行は自分には出来ない」とドメスティック弁護士であることを痛感。
バックパッカーにあこがれるところもあるのだが、これを読んで、自分は生涯バックパッカーにはなれないことが分かった。
「明暗」新潮文庫。夏目漱石。
夏目漱石の遺稿であり、未完成の作品である。
人間のエゴイズム、他人との関係により規定される人間というものの立ち位置、人間の心の闇などを描き出そうとして、未完に終わったこの作品が非常に惜しい。
未完と知りつつ読んだ(未完ではあるが、650頁くらいある)。
私の感想としては、人生において、夏目漱石を読まないのは非常な損失であると思う。
私はこれで漱石の作品で未読なのは、倫敦塔が収録されている新潮社のものだけとなった。
そのうち、漱石の講演や、論考も読んでみたいと思っている(実は岩波文庫のものをもうひとそろい買ってある)。
みなさんも、この夏、漱石を一冊読んでみませんか。
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コメント
こんにちは初めての投稿です。
さて、夏目漱石の「明暗」についてです。
未完成であり、昔、読んだ時、完成すれば大傑作になるのにとがっかりした記憶があります。
現在は、ご存じかも知れませんが、水村美苗という作家が完成させています。文庫になっているはずです。
水村美苗という作家は「明暗」の後半部を非常にうまく完成させております。文体も漱石風です。漱石の書いた部分が後半で生きてきて、最後まで読むと、充実した読書体験を得ることができます。
ご参考までに。
投稿: ALGERNON | 2013年8月 6日 (火) 15時03分
コメントありがとうございます。明暗を読んでいて、未完成のままではもったいないと思い、読み終わる前に「続明暗」は購入して、実は既に読み終わりました。
私自身は、続明暗に対しては、様々に言いたいことがありますが、そうした批判も踏まえて水村美苗という作家は書かれているその気概はすばらしいものだと思いました。
あれは一つの明暗の解釈であり、未完成であるがゆえに、自ら今後の筋を考えるというのがもっともよいのかなと今は思っています。
漱石の作品は、まだ続きがありそうなところで終わっているものもあり、明暗も実はそうなるはずだったのではなかろうかというが私の推測です。
投稿: 弁護士中隆志 | 2013年8月 6日 (火) 16時11分
「続明暗」はすでに読んでいたのですね。
読書量、恐れ入りました。
ちなみに私は横浜弁護士会の弁護士です。
投稿: ALGERNON | 2013年8月 6日 (火) 17時15分
それほど読書をしている訳ではないので、お褒めいただくとお恥ずかしいです。
横浜いいですねえ。
投稿: 弁護士中隆志 | 2013年9月25日 (水) 12時23分