読書日記4月21日
「日本を捨てた男たち」集英社文庫。水谷竹秀。
日本を捨て、あるいはフィリピン女性にはまり追いかけてフィリピンに行き、そこでお金を使い果たし、日本に帰りたくても帰れない、あるいは自ら帰りたくない男達を描いたルポ。
フィリピンの低所得者層に日本人男性が食べ物を恵んでもらい暮らしている姿や、フィリピン女性にパブではまり、フィリピンに追いかけていき、帰国できなくなるという実体。
詳しくは本書を読んで欲しいが、貧富の差が如実に出てきた日本という国の構造的問題なのか、あるいは自らが選んでフィリピンで死んでいく彼ら自身の問題なのか。
「翻訳夜話2 サリンジャー戦記」文春新書。村上春樹、柴田元幸。
キャッチャー・イン・ザ・ライを翻訳した村上春樹と、翻訳の校正作業を共にした柴田氏との対談を通じて、「キャッチャー」の本質とサリンジャーについてとことん語り合った作品。
私は人間が深くないし、文学に造形が深いわけでもないので、二人の対談を読みながら、文学というものはこれほど深いものなのかということで感嘆しきりであった。
ただ、逆にいうと、文学に対してあまりにも深読みしたり、繊細すぎると、この中で述べられている何名かの人物のように、自らを壊しかねないので、一般的な文学読みは私程度でもよいのかなと思っている。
村上春樹訳のキャッチャー・イン・ザ・ライを読んだ人で、さらに突っ込んでその世界に浸りたい人には最適だが、一般読者向けではない本。
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