読書日記8月20日
「里山資本主義」角川Oneテーマ21。藻谷浩介ほか。
里山あるいは身近な資源などを活かして、地域を元気にしようという試みとその根底に流れる思想が整理された好著。
化石燃料だけに頼るのではなく、木材のいいところをもっと見直そうとする動きが日本の里山が残る地域だけでなく、世界でもそのような試みが既になされていることに驚きを感じた。
非常に感銘を受けた1冊で、このあとよほどのことがなければ、今年度のベスト10に入ることは間違いない1冊である。
確か、新書大賞も受賞したと帯にあったが、それもうなずける1冊。こういう本に出会えると、読書をしていてよかったと思うのである。
「情事の終わり」新潮文庫。グレアム・グリーン。
クラッシック作品を新訳でよみがえらせるという試みを春から新潮文庫がしているのだが、その中の1冊。
世界文学に疎いので、こうした良書があるということすらわかっていない私にとっては、こうした名作に40を越えて出会えることがまたありがたい。
逆に、その作品を10代や20代で読んでも分からないであろう。
終わったはずの友人の妻との情事に再び火がつく。第三の男がいるのではと嫉妬にかられる主人公はかつての愛人を尾行させるのだが・・・。
結末までスリリングに描かれていて、きちんと伏線に対する回答があり、さらに読み終わってから余韻がある。なぜ、彼女は主人公の下を去ったのか?彼女に第三の男はいるのか?彼女と主人公が再び愛し合うことはあるのか?
夏期休暇中に一気に読んだ作品である。
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