司法修習生の就職場所
弁護士の数が増員したことにより、過疎地で開業する弁護士が増えたと言われることもあるが、それだけでは中々過疎地の弁護士は増員はせず、日弁連が貸付制度(一定の条件があれば返済免除)を作って過疎地で開業しやすくしたり、ひまわり公設事務所という制度を作って公設事務所が地元に定着するなどしたこともあり増員してきているという側面がある。
そして、そのお金がどこから出ているかというと、私を含めた会員の会費から出されている。どこかからお金をもらっている訳ではなく、蛸が自分の足を食べているようなものである(こういう制度は他にもある。犯罪被害者支援の被疑者段階など)。
医者でもそうなのだが、何かこういうインセンティブを与えないと、地方に人が流れて行かないという側面があり、東京・大阪に集中してしまうと思う。
食えないということで弁護士を廃業する弁護士が出ていたり、収入がほとんどない若手弁護士などという記事をよく読むが、敢えて東京や大阪で即独をするという選択肢をしている人がそうなるのを見ていると、何故競争が激しい地域で登録をするのだろうと思ってしまう。
先日聞いた話では、過疎とまではいかないがそれほど弁護士が増えていない地域で独立した若手がものすごい売上をあげているケースもあるようである。これなどは、登録する地域の選択で成功した例であろう。もちろん、全ての若手がそうした地域に行くようになれば、経済規模が東京・大阪とは比較にならないから事件も枯渇するだろうが、中々そのような話があってもそうした地域に行かないから、登録する地域を十分リサーチするというのも大事なことのように思われる。
東京で日弁連の会議に出て、会合や宴会などで日本全国の状況を聞いていると、情報量も増えて様々な話を聞くことが出来るのだが、これなどもその中の一つである。
ある地域の先生は、「けっこう大変大変と言われているけど、うちの単位会はそんなに困っていると聞くことも全く無いし、そんなに危機感もないし、おとぎ話のような単位会です」ということも言われていた。
京都弁護士会は、前にも書いたが人口比が日本第三位で、しかも京都市内に弁護士が集中していること、隣接単位会がマンモス単位会の大阪であることからすると、弁護士が生き残っていくための競争率は私は勝手に日本で一番だと思っている。
修習生が京都で就職を探していると聞くと、こういう話をして、他でリサーチした方がいいというが、だいたいの修習生は聞くフリをして聞いていないのである。
私はもう京都で20年やっていて、京都弁護士会が好きであるし、何とか事務所を経営しているのでそれなりにお客さんもいるから、京都を離れてどこかに行くというようなことは考えないのだが、これからの人はもっと登録する場所というのを考えた方がいいと思うのである。
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コメント
中先生お久しぶりです。「うちの単位会はそんなに困っていると聞くことも全く無いし、・・・」のくだりを見て驚きました。どの単位会なのか、見当がつきません(苦笑)。ヒントを下さい。中先生ご指摘のとおり、私の単位会は全く逆なもので・・・。
投稿: さっきー | 2015年6月 2日 (火) 11時07分
さきやまさん、そんなに簡単に情報は売れませんよ(笑)。
明示するのも様々な事情ではばかられるので、また今度会った時にでも教えます。
投稿: 中隆志 | 2015年6月10日 (水) 16時05分