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2015年12月21日 (月)

読書日記年間ベスト10その8

7位。

「最初の刑事 ウィッチャー刑事とロード・ヒル・ハウス殺人事件」早川書房。ケイト・サマースケール。

 イギリスにおいて最初の刑事であったウィッチャー刑事の活躍と苦悩と再生を描いた作品。
 ロード・ヒル・ハウスで殺人事件が起こる。まだ年端もいかない男の子が喉を切られて胴体から落ちそうな状態で屋外のトイレに捨てられていたのである。
 犯人は誰なのか。イギリス国内中が捜査官と化して様々な意見が取りざたされた。
 ウィッチャー刑事が解決に乗り出すのだがー。

 切り裂きジャックがイギリスを震撼させるよりも20年以上前の事件であり、正直この本を読むまで全く知らなかった事件である。
 犯人は誰なのか、犯行の動機はなにか。
 イギリスの上流階級の一家に起こった惨劇について、謎が明らかにされていく。

 過去に起こった事件だけに、今のような科学的捜査手法もない上、捜査も本を読むと分かるのだが、非常に杜撰である。そのため、この本で明かされている真実が本当の真実かどうかも分からないとも思える。

 ミステリ好きの私であるので、こうした本にも非常に興味をそそられるし、現にイギリス中がこの事件の真相を暴くべく熱狂した。
 しかし、忘れてはいけないのは、この事件は実際にあった事件であり、現実にまだ小さい男の子が殺されたという事実である。ミステリ小説の中では気軽に殺人が起こるが、小さい男の子が、殺人者によって殺された、被害者がいるという視点を忘れてはならないという当たり前のことがこうした事件ではなおざりにされるのである。
 2008年に出版された本であるが、好著であり、今年の7位に勝手にランクインさせていただく。

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