弁護士にとってのゴールデンウィーク
弁護士にとってのゴールデンウィークとは(私の場合だが)、起案する時間である。
今年も休みは2日と6日を休みにすれば10連休になるという話を聞いたりしているが、そんなことは弁護士にとってはあり得ない話だと(私の場合だが)思っている。
連休中は暦通りであり、5/2と5/6は普通に仕事している。
また、控訴理由書とかカルテに基づく交通事故の主張とか、時間が取れないとできない書面に関しては、4月の期日で連休中に書くことを前提に〆切りを入れている。
これは大体21年前に弁護士になってから変わらない話である。
もちろん連休はしっかり休むという弁護士もいるだろうが、たいていはそうではないのではなかろうか。
書面をきちんと作成しようと思うと、まとまった時間が必要なので、連休中は電話もあまり鳴らないし(全く鳴らないわけではない)、起案に集中できるのである。起案出来る時間はありがたいのである。
弁護士の仕事は地味な作業の連続であり、地道にコツコツとやっていく人が向いている。依頼者から話を聞き取った上で裏づけとなる証拠を探して書証化し、相手の主張の矛盾をついて反論を考えて・・・というのを1件1件やるわけである。
これにはけっこうな時間がかかり、まとまった仕事ができる時間が取れる連休の間はありがたいのである(きっと考えがワーカホリックで間違っているという気はするが、それで21年間やってきたから仕方がない)。
そもそもきちんと休みが取りたいなら仕事を選ぶ時にそういう仕事を選択すればよいだけの話であり、弁護士という仕事を選んだ以上、時には土日もないというのは当たり前の話であるし、連休を全て休みたいという(いや、きっと要領のいい弁護士は休んでいるとも思うけど)気持ちのある人はきっと弁護士には向いていないはずだと思ったりする連休前の1日である。
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コメント
こんにちは。
私は弁護士志望ですが、ワークライフバランスをきちんと追い求めていきたいと思っています。特に、家族と過ごす時間を大切にしたいと思っており、平日は出来るだけ早く帰り一緒にご飯を食べる(その後自宅で仕事するのはやむを得ませんが)、休日も家族でどこかに出かけたり何かして遊んだりしたいと思っています。
以上のような考え方について、どう思われますか?また、ご家族との時間はどのように確保されていますか?
投稿: 司法修習生 | 2016年4月26日 (火) 06時14分
弁護士になってみれば分かりますが、ワークライフバランスを取ろうと考えていてもできている人はほとんどいません。
自分で事務所を構えていたら、家族のみならず事務所の面々を路頭に迷わせないためにも仕事は必死に頑張らないといけません。また、依頼者のニーズに幅広く応えることで信頼が勝ち取れることになります。自分は家族と過ごす時間が大切なので、あなた(依頼者)が来たいと言っている時間は自宅で家族と過ごしたいんです、なのであなたが時間を私に合わせてください、では依頼は来ないでしょう。
また、勤務弁護士をしている場合、そんなことを言っていたら経営弁護士から普通は「事務所から出ていってもらっていいよ」と言われると思います。
17時に帰宅できる公務員(全ての公務員ではないにせよ。定時に帰ることのできる他にも職業はあるでしょうけど。)のようなことでないと難しいと思います。
時には依頼者のために土日や深夜まで仕事をするのが弁護士ですし、刑事事件で面会に行くためには土日も関係なくなりますし、実務につかれたら、そうした考えは理想としてはみんな持っているにせよ、実現できていないことが分かると思います。
また、弁護士が集まる会合(宴会)にも顔を出さないと、弁護士としての感覚がずれていくことになります。
厳しい言葉になりますが、バリバリと仕事をする前提ですが、一般的に弁護士として生きていくためには、それが現実だと思います。周囲を見てもバリバリされている人はたいていそんなものです。
修習生さんの考え方を否定はしませんが、私にとっての優先事項は依頼者の正当な利益を守ることなので、それを実現しようとすれば、不可能だろうなというのが実感です。
投稿: 中隆志 | 2016年4月26日 (火) 17時53分