読書日記5月12日
「信長の血統」文春新書。山本博文。
信長の天下一統を整理しつつ、その血統がその後どうなったか、信長の血統が高貴な血筋として覇権の正当性として使われたということを整理した一冊である。
信長の嫡流は絶えており(本能寺の時にまだ織田家嫡流の織田秀信は幼少であり、関ヶ原の戦いの時に西軍についたが岐阜城を攻められて敗北し、高野山で若くして死んだ)、その他の子孫が江戸時代は旗本であったり、小さい大名として存続した。
しかし、浅井長政の子であり、信長の妹であるお市の子でもあるお江は三回目の結婚で徳川秀忠と婚姻して家光を産んでいるから、徳川家にも信長の血統は残った。
「真田信之」角川選書。黒田基樹。
真田丸の時代考証をしている筆者による真田信之の生涯を描いた作品。
ただ、他の作品でそれよりも前の信之についても触れているので、この中では、関ヶ原合戦から松代藩に移転させられる直前までを描いている。
史料をたんねんにあたって書かれているので、歴史マニア向けであるが、真田家を残していくために信之がどれだけ苦労したかが描かれており、真田幸村(信繁)の活躍が今日まで伝わっているのも、真田家が残ったからであるともいわれている。
信之は、元は信幸といったが、父の真田昌幸が関ヶ原で敗れて江戸幕府からすると罪人の立場になったため、真田家代々の「幸」という字をはばかり、「信之」と改名したというのが一般的理解であったが、途中で「信幸」に戻している時代もあり、今となっては改名の理由は不明である。
九度山での真田昌幸と幸村の暮らしはその多くを信之からの仕送りに頼っており、それでも足りないので昌幸らは借金をしていたことが分かる。
それ故に、幸村が大阪城に入城した衝撃は信之にとって大きかったようで、当時の史料でもそのことに驚いている様子が書かれている。
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