原典に当たれ
準備書面で裁判例が引用されているが、その原典に当たってみると、全く違う趣旨の裁判例であることがある。
これは、書籍などに記載のある引用のところだけ見て書いているからである。
相手から指摘された裁判例は、原典に当たる必要がある(相手が証拠や参考資料で出していたらそれを読めばよいが、出さずに引用だけしているケースも割合ある)。
中には、当該裁判例が見当たらないこともあり、そのことを指摘すると、結果的に相手の代理人も見つけられなかったというようなこともあった。
高裁の裁判官の講義を聴いた時に、裁判例は、自分に都合のいいものだけを1つか2つ出しても裁判所には響かないが、たくさん裁判例を出した上で、当該論点についての裁判所の傾向はこうであるというようなまとめ方をすると裁判所としても大いに参考にするということであった。
そのためには原典に当たる必要がある。
もちろん、これは使えると思った裁判例を読んでいって、結果使えない(論点がちがっていた)なとどいうこともある。
トレーニングされた弁護士は陰でこつこつと仕事をしているのである。
あと、追加で指摘しておくと、調べ物をするときは、書籍も複数読まないといけない。
販売されている書籍が間違っていることもあるからである。
読み方も、ただ読むのではなく、この問題点については条文などからすると結論はこうなるはずである、という視点で読むと、間違ったことが書いてある本があぶり出されることがある。
その時に、他の書籍にあたり、比較して、どちらが正しいかを検証しないといけない。
地味な仕事である。
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コメント
最近の代理人、訴状に予備的を乱用しているようにみえる。昨日、地裁、高裁民事事件傍聴をしたが、岡口判事のいる民事22部の裁判で、そのほとんどの代理人が書面内容不備を裁判長から指摘されていた。
これは、控訴理由書を裁判長が、きちんと読んでる証拠で、このような人が高裁に居ると言う事に喜びすら感じた
投稿: はるな | 2016年9月13日 (火) 13時41分