読書日記4月17日
「武田氏滅亡」角川選書。平山優。
戦国時代の史料を丹念に精査し、史料から見えてくる本当の戦国時代を浮き彫りにする筆者の労作である。なんと750頁もある。
鞄に入れて持ち運びながら読むのは骨が折れたが、戦国史好きであれば(といってもマニアレベルの人だが)、読まねばならない労作である。
これを読んでいると、上杉謙信は一般に言われるような聖将ではないことが分かる。
また、戦国時代において、いかに外交政策が重要であったかもわかる。
長篠以来勝頼は鳴かず飛ばずのように思われているが、そうではなく、積極的外交策を用いて、佐竹氏などと協同し、上野において積極的に活動し(その中心人物が真田昌幸である)、北条氏政に「このままでは北条は滅亡するとまで言わせていたことが分かる。
勝頼から民心が離れたのは髙天神城を見殺しにしたことであり、また、髙天神城が降伏しようとした時、信長はこれを許さず、「勝頼から見放された」というイメージを植え付けようとしていたこともわかる。
これを読むと、勝頼は後世にいわれるような暗愚な将ではなく、信長も勝頼を非常に危険視しており、入念に武田氏を滅亡に追い込んだことがわかるのである。
勝頼があのような形で滅亡せざるを得なかった原因を探るとすれば、滅亡寸前で新府城を築いたりしたことで領民に多大な負担を強いて、民心が離れてしまったことではなかろうか。
別の文献で、信玄時代も領民に相当な負担を強いていたことを読んだが、勝頼はそれ以上だったとされているのである。
圧巻の一冊であり、信玄ファンのK藤S一郎には是非読んでもらいたいものである。
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