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2017年5月25日 (木)

読書日記「開国」

 幻冬舎文庫。津本陽。
 平成8年頃の作品であり、私が弁護士になった頃の作品である。
 主人公を決めず、開国がされ、井伊直弼が暗殺されるまでの激動の時代を開国に関わった人々を中心に書いている。

 後世から見れば、開国することはやむを得ないことであったろうし、それが正しい道であったことは容易に理解できるのだが、当時の人々は今ある情報と知識でそれぞれの立場で攘夷を叫んだり、開国に反対していたことが分かる。
 今の日本が置かれている立場は江戸時代とは違うものの、開国の時代のように先が見えない中でどのようにして将来のよき国家を作っていくかについての立場が先鋭的に対立している構造ではなかろうかと思い、これを読むことにした。
 時代の中に生きる人々にとって、正しい判断をすることがいかに難しいかを痛感させられる一冊である。

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