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2018年12月14日 (金)

読書日記「絶滅できない動物たち」

 ダイヤモンド社。M・R・オコナー。
 種とは何か。絶滅寸前の動物を保護し、人間の管理下に置くことは本当に正しいのか?

 人間の保護下でないと生きていくことができないカエル。生息地に発電施設が作られることになり、固有種であるカエルは、わずか残った滝の下でひとかたまりになっていた。その人間の行為によりひとかたまりになって生きようとするカエルの姿を思うと暗澹たる気持ちになる。
 しかし、私自身もそうした文明の恩恵を受けて生きているのである。
 人間の行為により絶滅寸前の「種」を保護して生き続けさせたとして、固有の生態系で生きていけないカエルは、それで「絶滅していない」種だと言いうるのか・・・。
 人間が保護して生育した時、もはやそれは自然界では生きていけない別のものになっているのではないか。
 人間が手を貸すことで、固有の種が変異したケースもある。それは、新しい種と言ってよいのだろうか。
 密漁により絶滅寸前のサイ。どれだけ保護活動をしようとしても、アフリカの政情の中、保護は頓挫し、大量に殺戮され、中国などに漢方の材料として角が売られていく。人間の業の深さを思い知らされる。
 人間が絶滅させたリョコウバトを復活させるプロジェクト。これが実現したとして、それは、リョコウバトなのか、あるいは、もはや違う種なのか?
 重い、重い本であるが、保護活動の難しさを知ることができる良書である。
 間違いなく今年のベスト読書に一冊に入る。

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