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2019年11月14日 (木)

読書日記「正史三国志5 蜀書」

 ちくま学芸文庫。陳寿。
 日本で唯一の完訳正史三国志。
 蜀書ということで、主人公は劉備、関羽、張飛、趙雲らである。

 

 劉備は三国志演義の方では善玉の主人公で、粗暴な振る舞いをするのは常に張飛だが、実際の劉備はもっとドスの効いた人物であった。
 劉備は黄巾の乱ののち、地方の官吏となったが、その査察に来た中央の監督官が無茶をいうため、木に縛り付けてむち打ちをして、印綬をその査察官の首にかけて官を辞している。三国志演義の方ではこれは張飛がしたことにされているが、劉備はキレるところがあった人物で、キレるとけっこうなことをする人物であったので、実際の劉備と三国志演義の劉備とはかなりの違いがある。

 

 後に関羽が孫権によって斬られた際も、諸葛亮らがいさめるのを聞くことなく、「キレ」て呉に攻め入っている。
 関羽も高潔な人物として書かれているが、他人の妻に懸想し、その妻を曹操に奪わるなど、三国志演義とは異なる人物像が浮かび上がる。
 三国志演義で描かれているのとあまり違いはないのは趙雲くらいであろうか。
 諸葛亮も三国志演義の中では妖術使いのようであるが、実際の諸葛亮は軍師というよりは政治家であり、実際の戦い方は堅実である。

 

 三国志ファンであれば、全て読むのは大変なので、私のように拾い読みすると面白いと思う。

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