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2020年5月 8日 (金)

読書日記「書斎の宇宙」

 ちくま文庫。高橋輝次。

 机や筆記具などについて、文学者が書いたエッセイを集めた一冊。
 作家だけに、机一つにも相当な思い入れがあったり、万年筆に対する思い入れがある。

 谷崎の机が小さかったことに驚き、師匠から譲られた小さい机に、自分の大きな机を恥じる水上勉の話はいい。

 まだ作家として独り立ちしていない時期に、原稿用紙代をまけてくれた文房具店の原稿用紙を使い続けたが、その文房具店が廃業した後、その作家がこの原稿用紙について書いた文章を読んで、その文房具店が再起を決めたという小檜山博の話は泣けた。これがこの本の一番いいエッセイである。

 机周りが好きな人にも、そうでない人にも心が温かくなる一冊である。

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