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2021年8月24日 (火)

交通事故訴訟のたまにある誤りなど

 交通事故で、セカンドオピニオンを聞くために相談を受けることがある。
 他の弁護士が計算した交通事故の計算書などのチェックをすることもある。

 若手弁護士向けかと思うが、先で失敗しないよう、今までに見た誤りや、こういうやり方があるというのを挙げておくことにする。

1、死亡慰謝料
 交通事故訴訟の基本書(赤本とか青本とか緑本と呼ばれるもの)には、死亡慰謝料の基準額が記載されている。
 この基準通りで計算している事例が散見されるが、慰謝料は主張立証をきちんとすれば基準よりも増額されることがある。
 主張立証をどうするかは私の仕事上の秘訣なので教えないが、割合増額される。
 最近の事例では、飲酒暴走事故で、24歳の女性が亡くなられた事例で基本書の記載より1000万円程度増額(遺族固有分含む。以下同様である。)。
 飲酒赤信号無視で横断歩道上の自転車で一家の支柱が亡くなられた事例で600万円程度増額。
 点滅信号がある交差点で出会い頭衝突した車両がその道の端を歩いていた歩行者の主婦に衝突した事例で500万円程度増額。
 事案に即して、過去の裁判例を調査して、近い慰謝料を請求すべきである。ただし、きちんと主張立証しないといけない。
 過去受任して増額された例は上記にとどまらない。

2、年金を逸失利益(生きておられたら受領できるはずの金額)から漏らしている。これは明らかに弁護過誤である。

3、死亡事案や高い後遺症が残った事例で、自賠責保険金からの入金をいきなり元本に充当しているため、本来もらえる金額より少額となってしまっている(遅延損害金・元本の順に充当しないと弁護過誤だと思う。)。

4、収入がマイナスという理由で計算で逸失利益は請求できないとしている(主張立証次第で認められる余地はあるから、簡単に諦めてはいけい。)。

5、内縁の妻には相続権がないという理由で、請求できないと言われている(固有の慰謝料と、扶養されていればその部分を請求できるし、裁判例も多数あるし、私も2回ほど賠償義務を認めた判決を取っている。)。

6、既払い金を差し引くのを忘れている。

7、過失割合に応じて請求額を減額する際(過失相殺という。)、他の費目には充当できないものを差し引いてしまっている(ややこしいが、治療費が例えば労災から支払われた場合を考える。100万円治療費が支払われた場合に、被害者の過失が50%だと、治療費として請求できるのは50万円となるが、この場合、労災から支払われた残金の50万円は他の費目に充当できないのに、全体の損害から差し引いてしまっている。これは、たまに裁判所の和解案でも間違っている時がある。)。

8、葬儀費用は基本書には150万円とされているが、事情や主張立証によっては増額して認められることがあるので(私自身そうした判決を獲得している)、事実関係を丹念に聞き取り、増額請求が可能と判断した場合には、請求を検討すべきである。

 私が弁護士になった頃と比較すると、各分野の裁判例の集積があり、各分野はマチベンなら「誰でもできる」という時代から、マチベンに依頼すれば誰でも一応できるが、依頼する弁護士によっては相当差があるという時代に突入しているように思われる。
 離婚、相続なども然りである。

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