今週の小次郎
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中央公論新社。村上春樹。
単行本の復刻版が出ていたので、文庫では読んでいたのだが、安西水丸さんの表紙の絵が非常に綺麗な本でもあり、購入した。
マンガはKindleで十分だが、小説などは実際の本に限る。
大分前に読んだ短編集なので、正直、すっからかんに忘れていた(少し前に日本文学全集で読んだ「午後の最後の芝生」を除いて。)。
この作品集の中では、やはり、「午後の最後の芝生」が秀逸である。
「土の中の彼女の小さな犬」もいい。
少し前に「街とその不確かな壁」が長編で出て、新作が出るまで時間がかかりそうなので(短編が出ないかなとは思っているが)、購入して読んでいなかった村上春樹全作品の短編を少しずつ読もうかなと思った次第である。
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大阪の人間は、「物がどこかに行きよった」とよくいう。物が自分でどこかに行く訳はないので、自分でどこかに忘れているのだが。
私も物がどこかに行くことがある。事件記録や証拠の類いは全く問題ないのだが、事務所が何々がないと騒いで、事務員総出で探してもらい、私の机にあるということがよくある。見ていたはずのところから出てくるのである。
外で落としたのかもしれないと、行った先の店であったり、乗ったタクシー会社に電話することもある。
実際に一度JRで万年筆を落としていて、忘れ物センターまで取りに行ったこともあるのだが、たいていは自分がどこかにやっているのである。
物が出てきたら、本当に申し訳なく思い、探してくれた店の人に謝罪の連絡をすることになる。出てきてよかったですね、と言ってくれるのだが、本当は迷惑であろう。
仕事だと大丈夫な(はず)のだが、私の失せ物に対する節穴アイはどうしようもないようである。
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調停や訴訟となっている事件だと期日が入るので、準備が間に合っていなくとも、準備状況などを相手方代理人から聞くことができる。
しかし、交渉事件だと、放置されるとどうしようもない。
私は事務所のスケジュールを管理しているソフトにこの時期を過ぎたら相手方代理人に督促したり、状況の確認をする旨書いておいて、状況の問い合わせをするようにしている。
そうすると、途中経過の回答が返ってきたり、あるいは回答が返ってくることもある。
いや、督促される前に回答してよ・・・と思うこともしばしばである。
問題は、全く回答も連絡もつかない相手方代理人である。
このような場合は、期限を切って、交渉を打ち切ると通知するしかない。
さらに問題は、「いついつまでに回答します」と回答が来て、その期限が過ぎても回答がなく、督促したところもう少しかかると言って数ヶ月何も進まないまま時間だけが過ぎていく代理人である。
どこかで依頼者と相談して見切りをつけるしかないのだが、中々に難しいところがある。
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内田樹氏がアエラに目的なしに散歩をしたり、ブラブラしたり、アテもなく旅に出るということをしたことがないと書かれていた記事をネットで読んで、「病的な合理主義者」だと言われたと書かれていた。
偶々上記の記事を読んだのだが、私も目的なしに散歩をしたり、ブラブラしたりしたことはない。アテもなく旅に出るという事など考えたこともない。
散歩は二代目小次郎の散歩をさせているだけであり、コースも決まっている。ブラブラ出かけることもない。本屋に買う本があるかどうかわからず行くことはあるが、これは「読みたいと思った本があれば買う」ことは決まっている。
旅に出るのは基本仕事の出張である。
アテもなく旅に出るというのは、学生の頃は暇はあったがお金がなかったし、司法試験の勉強を初めてからは暇もなくなったし、多分お金があってもそんなことはしなかったであろう。
むしろ、世の中の人はそんなにアテもなく散歩をしているのだろうか。アテもなく休日ブラブラするのであろうか。
そちらの方に疑問を抱いている時点で私も病的な合理主義者なのだろうか。
皆さんはどうであろうか。
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あっぷる出版社。藤井満。
京都大学のボヘミアンというサークルのフィクションとされているが、多分ほとんどはノンフィクションであろう(そうでないと写真が掲載されるはずがない。)。
知り合いの弁護士が登場していると聞いて購入した。
事前の許可があったのか分からないが、よくここまで書いたという感想である。
馬鹿なことを真剣にするというのが京都大学らしいといえばそうなのだが、このサークルは群を抜いてバカ過ぎる。
人生において全く読む必要はない本だが、面白いのは面白い。
ヒマつぶしにどうぞ。
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双方に代理人が就いている事件で、交渉事件が決裂して、訴訟や調停とならざるを得ない場合、私から訴えを出したり、調停を申し立てる場合には、こちらが提訴等をしたら、相手の弁護士にはそのことを通知している。事件番号や係属した係も知らせる。
先に委任状を出してもらえば、第1回期日は双方代理人の予定を聞いて入れることができるので、期日の空転が防げるためである。
相手の方から提訴等を受ける事件の場合には、私のように配慮してくれる弁護士ばかりとは限らないので、「提訴したら知らせてください。」と連絡を入れておく。
たいていの弁護士は連絡をくれるが、中には放置されることもある。
中々提訴等をしたという連絡が来ないので問い合わせてみると、既に提訴しています、という回答が来たりする。
「いや、提訴したら連絡をもらえるようにって言ってたやろ。礼儀にかけるやろ。」と内心思うのだが、上記のような配慮ができないのであろと思い、ヤレヤレと思っている。
他にも、和解で期限を決めて何らかの作業をしなければいけない合意をしていたら、その作業が完了したら相手の代理人に通知するようにしているのだが、逆の場合、何にも連絡も来ない代理人もいる。その作業が完了しているのかをこちらでイチイチ確認しないといけない訳である。
細部に全てが宿っていると思っているのだが、どうであろう。
以上です。
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太田出版。ロックリー・トーマス。
信長に使えた黒人がいたことは、史料にも記載があり、「弥助」と呼ばれていたことも史料から明らかとなっている。
本能寺で信長が襲われた時にも、その供回りに彼はいた。
しかし、弥助は討ち死にせず、信長の嫡男信忠の元に危急を告げに走ったようである。
弥助はどこから来たのか。
弥助はいかにして信長に仕えるようになったのか。
弥助とは何者だったのか。
弥助以外にも黒人は当時日本にいたのか。
弥助は本能寺の変のあと、どうなったのか。
その全てを解明することは難しいが、その答えにできるだけ迫ろうとした良書である。
ただし、超マニアックな一冊なので、かなりの歴史マニアでないと読む必要はないだろう。
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平成18年3月13日最高裁は、サッカーの部活での試合中に落雷で重篤な後遺症が残った事案について、「落雷による死傷事故は,平成5年から平成7年までに全国で毎年5~11件発生し,毎年3~6人が死亡しており,また,落雷事故を予防するための注意に関しては,平成8年までに,本件各記載等の文献上の記載が多く存在していたというのである。そして,更に前記事実関係によれば,A高校の第2試合の開始直前ころには,本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃されていたというのである。そうすると,上記雷鳴が大きな音ではなかったとしても,同校サッカー部の引率者兼監督であった甲野教諭としては,上記時点ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であったというべきであり,また,予見すべき注意義務を怠ったものというべきである。このことは,たとえ平均的なスポーツ指導者において,落雷事故発生の危険性の認識が薄く,雨がやみ,空が明るくなり,雷鳴が遠のくにつれ,落雷事故発生の危険性は減弱するとの認識が一般的なものであったとしても左右されるものではない。なぜなら,上記のような認識は,平成8年までに多く存在していた落雷事故を予防するための注意に関する本件各記載等の内容と相いれないものであり,当時の科学的知見に反するものであって,その指導監督に従って行動する生徒を保護すべきクラブ活動の担当教諭の注意義務を免れさせる事情とはなり得ないからである。」と判示している。
これを受けて、サッカーの競技中、指導者や主催者は落雷検知器を常備していて、落雷が近づいてきていると、競技を中断させているのが実際である(私もサッカーの観戦中にそういう場面を度々見ている。)。
これを書いている時点で、宮崎県でサッカーの競技中に落雷があり、重傷を負った方がおられるという報に接している。
現場が実際、落雷を予見できたのか、どういう状況であったかはわからないが、落雷の危険がなかったのかについては検証の必要があると思われる。
怪我を負われた方の症状が軽いことをお祈りするほかない。
サッカー以外でも、落雷事故にはよほどの注意が必要である。
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判例を検索するのが昔から割合好きである。
私は判例秘書を使っているが、その他にも自保ジャーナルに掲載された裁判例を検索できるCDも持っている。
ただ、自保ジャーナルのものは未だにCDのため、検索速度がとてつもなく遅く、バックグラウンドで検索文字等を入れて検索して放置しておくしかない。
検索ソフトがなかった勤務弁護士時代は、条文ごとに裁判例の骨子が書かれた加除式の書籍で調べてあたりをつけて、判例タイムズや判例時報の現物をさらに引っ張り出してくる必要があった。まさに手作業であった。
そして、つい他の条文も見て気づくと3時間くらい経過しているということもあった。登録した頃はメールもWeb会議も電話会議すらなく、毎回裁判所に行っていて、裁判の進行ももっとゆっくりであった。
勤務していた事務所の古い事件では、今のコピー機すらなかった時代の書類があり、青焼きであった。青焼きはコピーした後、紙が湿っていて、乾かすという作業が必要であったそうである。夜なべして広げて乾かしていたということである。
話が逸れたが、今は検索ソフトで瞬間に多数の裁判例を検索できる。かなり以前に高裁の裁判官の講義を研修で聞いた時には、自分に有利な裁判例を一つだけ出してして、「こうだ」と主張されても困るということで、その論点についての多数の裁判例を出して、裁判所がどのような点を見てどういう判断をしているかを書かないと意味がないということであった。
それからその作業をするようにしているが、正直手間のかかる作業ではある。
うまくいく時もあれば、うまくいかない時もある。一部の裁判官は読んでさえいないのではないかと思うこともある。
それでも、元々割合好きなので、せこせこと裁判例をよく検索している。
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https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/01c451a69e58c01839d93859bc1eb0cf46d509ca
「呼気アルコール検査」の結果だけ信じてよいのか? 飲酒事故遺族が訴える理不尽と血液検査の必要性という記事で、交通事故被害のあり方に疑問を呈され、たくさんの取材記事を書かれている柳原三佳さんの記事です。
僭越ながら、記事の後半でコメントをさせていただきました。
亡くなった被害者は真実を伝える術がないので、加害者の逃げ得、不可解な弁解を打破できるよう、立法化されることを望みます。
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講談社文庫。ルシア・ベルリン。岸本佐知子訳。
波瀾万丈の人生から紡いだ鮮やかな言葉でアメリカで衝撃を与えた筆者の短編集。
正直、筆者の言葉はオリジナルで、聞いたこともなく、読了後衝撃を受ける。
どこからどうやったらこんな言葉が出てくるのか。
おそらくは筆者の実体験に基づいた短編がちりばめられていて、時間と場所があちこちに飛んでくらくらとさせられる。
久しぶりに衝撃を受けた一冊。
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9年前の4月4日、桜が満開の日に、中村利雄弁護士は亡くなられた。
本日は命日であるので、このご冥福をお祈りする。
年数を正確に覚えているのは、同じ年の5月15日に初代小次郎が急死して、その後二代目小次郎を迎え入れたからである。
二代目小次郎は、3月で9歳となったので、年数が分かるのである。
中村先生、安らかにお眠りください。
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50代になると眠りが浅くなる、夜中に目が覚める、トイレに行きたくなり目が覚めるということを聞くが、幸いに私には無縁の話である。
眠りに入ると次の瞬間目覚ましがなる。時を翔けて、一瞬で朝になっているかのようである。
二代目小次郎の散歩がなければ、起き上がるのに躊躇するのだが、雨の日も風の日も散歩に行く小次郎のために絶対に起きないといけない。
中々寝られない日があるとすれば、休日に朝寝した上に二代目小次郎と昼寝をして寝過ぎた時くらいである。
夜中にトイレに起きる他の50代の人は、できるだけ目が覚めたくないので、明かりはつけず、目を細めてトイレに行くということであった。
結局それでも目が覚めるということではあったが。。。。
花粉症の時期は、身体全体が炎症を起こしているようで、昼間も眠い。
ただ春だからという訳でもないようである。
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弁護士業務でミスをした場合、その損害が補てんされる(ただし、故意行為や犯罪行為など一部補てんされないものはある。)保険である。
保険事故が発生した場合は、速やかに連絡をしておかないといけないのだが、事故とはいえず、不当な請求がされても一応届けておくとよいのと、弁護士自身に代理人をつける場合、その応訴費用(弁護士費用)を支出してくれる場合がある。
自分で勝手に代理人をつけて支払をしても全額を認めてくれないこともあるので、予め、保険会社に連絡をして、費用の合意をしておく必要がある。
弁護士業務の中で、明らかに不当な請求であったり、訴訟提起をされることが全くないとは言えないが、割合、代理人の費用を出してもらえることを知らない弁護士も多い。
先日も、不当な請求を受けている他の弁護士に助言し、仮に何らかの訴訟が出た場合には、これを利用できる可能性が高いので、届出だけはしておいた右方がよいと助言した。
私自身は幸い、ミスをしてこの保険を使ったことはないが、送られてくる事例集を見ていると、ミスはけっこう起こっているものだと思わされる。
同じ業界向けの話題であった。
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