競技中の落雷事故について
平成18年3月13日最高裁は、サッカーの部活での試合中に落雷で重篤な後遺症が残った事案について、「落雷による死傷事故は,平成5年から平成7年までに全国で毎年5~11件発生し,毎年3~6人が死亡しており,また,落雷事故を予防するための注意に関しては,平成8年までに,本件各記載等の文献上の記載が多く存在していたというのである。そして,更に前記事実関係によれば,A高校の第2試合の開始直前ころには,本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃されていたというのである。そうすると,上記雷鳴が大きな音ではなかったとしても,同校サッカー部の引率者兼監督であった甲野教諭としては,上記時点ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であったというべきであり,また,予見すべき注意義務を怠ったものというべきである。このことは,たとえ平均的なスポーツ指導者において,落雷事故発生の危険性の認識が薄く,雨がやみ,空が明るくなり,雷鳴が遠のくにつれ,落雷事故発生の危険性は減弱するとの認識が一般的なものであったとしても左右されるものではない。なぜなら,上記のような認識は,平成8年までに多く存在していた落雷事故を予防するための注意に関する本件各記載等の内容と相いれないものであり,当時の科学的知見に反するものであって,その指導監督に従って行動する生徒を保護すべきクラブ活動の担当教諭の注意義務を免れさせる事情とはなり得ないからである。」と判示している。
これを受けて、サッカーの競技中、指導者や主催者は落雷検知器を常備していて、落雷が近づいてきていると、競技を中断させているのが実際である(私もサッカーの観戦中にそういう場面を度々見ている。)。
これを書いている時点で、宮崎県でサッカーの競技中に落雷があり、重傷を負った方がおられるという報に接している。
現場が実際、落雷を予見できたのか、どういう状況であったかはわからないが、落雷の危険がなかったのかについては検証の必要があると思われる。
怪我を負われた方の症状が軽いことをお祈りするほかない。
サッカー以外でも、落雷事故にはよほどの注意が必要である。
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